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刃に心
【コメディ 恋愛小説】

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刃に心《第21話・一戦去って、また一戦》-1

「こ、これは…」
「…マジかよ」
「………」

その知らせを受け取った者達は皆一様に同じ驚愕の表情を作った。
しかし、それも束の間。

「…ふふ♪面白くなりそう♪」

ある者は口許に笑みを浮かべ…

「絶対に負けねぇ!」

また、ある者は火炎を背負い…

「……あの人と…」

そして、また、ある者は静かに決意を固める。
歯車は回り始めた。
それはゆっくりと。
だが、少しずつ速度を上げていく。
そんな時、我らが主人公、忍足疾風はと言うと…

「…くか〜…」

惰眠を貪っていた。
今はまだ何も知らない疾風がこの戦いに巻き込まれることとなるのは、もう少し後のことである。

《第21話・一戦去って、また一戦》

◇◆◇◆◇◆◇

ピンポ〜ン。
間延びしたチャイム音で疾風は目を覚ました。

「…誰だろう?」

ベッドから起き上がり、目を擦りながら疾風は呟いた。
ピンポ〜ン。
再びチャイムが鳴る。誰も出ないということは、今この家にいるのは自分だけなのだろう。
面倒臭そうに着ていた寝間着を脱ぎ、普段着に着替える。
ピンポ〜ン。

「今、行きますよ〜っと…ふぁああ…」

三度目のチャイムにこれまた面倒臭そうに返事をして、欠伸とともに疾風は玄関に向かった。

◇◆◇◆◇◆◇

「どちら様ですか?」
「お休みのところ、申し訳ありません。朧です」
「月路先輩?」

疾風は怪訝そうな顔をしながら扉を開けた。
クリーム色のブラウスに、シックな色合いのスカート。
疾風の姿を見て、にこっと微笑む朧の姿は十人が十人、振り返るのではないかと思うような魅力的なものだった。

「突然、すみません」
「どうしたんですか?霞ならどっかに行ってるみたいなんですけど」
「いえ。今日は疾風さんにお話があって来ました」
「俺にですか?」

朧は答える変わりに、また、にこっと笑った。

「まあ、立ち話もなんですからどうぞ」
「では、お邪魔します♪」


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