アツイ想い。2-2
「よぉ、久しぶり。仕事終わってから時間ある?」
そのお客様とは雅夜だったのだ。
「…少しなら…」
自分の力無い返事に舞自身がビックリした。
「じゃ、俺外で待ってるわ」
雅夜は以前と変わりない態度で言い、出て行った。
舞は自分の手を見てみた。尋常でないほど汗をかいていた。
何を話されるんだろう。期待と不安で一杯だった。
仕事も終わり店の外に出てみると、壁に寄り掛かりながら煙草を吸う雅夜が目に入った。
「仕事終わったよ。話って何?」
雅夜を直視できなくて、足元を見ながら話しかけた。
「お〜お疲れ。ここじゃなんだから、なんか飲みながら話そう」
雅夜に連れられて、オシャレなバーへと連れて来られた。
「おまえさぁ、何で連絡くんねーの?」
急な質問に戸惑う。
「えっ…それは雅夜だって同じでしょ」
「俺はシャイボーイなの。おまえが積極的にしてくんねぇと俺が困るんだわ」
雅夜は煙草を吸いながら言った。
「はぁ?なにそれ。こっちの都合だってあるんだから勝手な事言わないで!」
舞は、大声を出してしまった。
「おい、落ち着けって。どうしたんだよ、急に大声出して。」
「別に…思ったことを言っただけよ」
舞は、自分が取り乱していることに動揺していた。
「まぁ、俺も悪かったって事で。でさぁ、明日の夜暇かなぁ?」
頬杖を付きながら舞の顔を覗き込む。
「明日の夜?何で?」
舞は目を反らした。
「明日さぁ、店で俺のバースデーのイベントあるんだよね。客一人も来なかったら寂しいからさぁ、おまえ来てくれるでしょ?」
結局、自分はお客なんだという事を思い知らされ、舞は悲しくなった。
「そーだねぇ、主役なのにお客がいなかったらかわいそうだし、行ってあげても良いよ」
笑顔で答えてやった。
「マジでぇ!?サンキュー!じゃ俺これからミーティングあるから行くわ。じゃーねぇ」
そう言ってバーを出て行った。
「…女一人残して行くなよ…」
自分で言った言葉がスタートの合図かのように、涙がこぼれてきた。
涙を拭いながら舞もバーを後にした。
家に着いてシャワーを浴びながら、おもいっきりないた。
なんであんな意地はったんだろう。本当は行きたくない。行きたくないよ!