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シスコン
【コメディ 恋愛小説】

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シスコン『第七章』-5

「…秋冬君はさ…」
『負けない。』
「…へ?」
『春夏ちゃんには、負けない。姉弟だから諦めなさいって勝ち方したくない。秋冬君に好きになってもらうんだから。』
千里は微笑んだ。
優魅の強さに、憧れを持った。
「ねぇ、柚木さんの誕生日っていつ?」
優魅は笑った。
『四月。もう終わってるよ。』
千里は溜め息を吐いた。





秋冬が家に帰ると、春夏は麻雀のゲームをしていた。
「うーん……わかんないなぁ。」
秋冬は画面をチラッと見た。
「そこはイーピン切りだ。サンピン切ったら下家があがっちまうぞ。」
「あ、おかえり。」
「ただいま。」
春夏は画面を見た。
「……サンピン危ない?」
「危ないどころかど真ん中だ。」
春夏は少し考えて、サンピンを切った。
『ローン!!!』
下家の女性が、軽快な音楽と共に自分の持ち牌を倒した。
「ほれ見ろ。」
秋冬はカバンを床に適当に落として、春夏に手を出した。
「貸して?」
春夏はコントローラーを渡す。
「…今日昼飯どうした?」
秋冬が春夏に聞いた。本当は知っているのだけれど。
「友達と食べてきた。ちょ、手牌良過ぎない…?」
秋冬の手牌は、中三枚と白二枚と發二枚があった。
「あんた…昔から運は良いよね…。」
「良くねぇよ。今だって自分の運の悪さを嘆いているところだ。」
春夏はあっそと、素っ気ない返事をした。
「いいよね…秋冬って。勉強できるし、スポーツだってやればできる。顔は…馬鹿親父に似てるから文句無し。悪いとこは毒舌だけじゃん。」
「そういやぁ親父はいつ帰ってくるんだろうな。」
「話聞いてた?」
秋冬は画面だけを見ている。
「……オレは万能でも何でもねぇよ。ほらみろ、今だって大三元の大チャンス逃しちまった。」
テレビ画面では、他のプレイヤーがあがっていた。春夏は秋冬を叩く。
「なんでスポーツしないの?なんでもっと勉強で上を目指さないの?もったいないよ。才能は使ってナンボじゃん!」
秋冬は春夏にコントローラーを渡した。
「中途半端に才能持ったから酷い目にあったんだよ。」
「秋冬が才能を伸ばそうとしなかったんでしょ…?」
秋冬は立ち上がる。
「昔の人はうまい事言うもんだ。知ってるか?出る杭は打たれるんだぜ?」
秋冬は二階にあがった。春夏は寝転んだ。
「…まだ中学の時の事引きずってるな…?」
ゲームの電源を切り、テレビのチャンネルを適当に変える。
「…馬鹿秋冬。」
春夏はテレビの電源を切った。


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