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シスコン
【コメディ 恋愛小説】

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シスコン『第七章』-4

「…最低だな。」
白鳥は笑う。
「そんなもんですよ。人間なんて。」
秋冬は白鳥を睨む。手が震える。どうしても、許せなかった。
「姉貴は、渡さねぇ。絶対渡さねぇ。」
「彼女はあなたの物なんですか?」
秋冬は返答に詰まる。
「姉弟でしょう。どんなに相手が好きでも、結婚は、できないんですよ。」
白鳥は続ける。
「どんなにあなたが彼女を愛しても、それは彼女を苦しめるだけだ。」
白鳥は立つ。秋冬を見つめながら、微笑む。
「あなたの願いが、叶う事はないよ。何故ならオレが彼女を手に入れるからだ。」
白鳥はレジに向かう。秋冬は、自分がいた席に座り、店員を呼んだ。
「これ一つ。」
白鳥に渡せない。
秋冬は、白鳥に怒りを感じていた。





日も落ちて夜。
優魅のケータイに電話がかかってきた。
「もしもし?」
相手は梓だ。
『あ、もしもし。私よ私。』
「……新手の詐欺?」
優魅は、笑いながらそう言った。梓も笑っている。
「で、どうしたの?電話なんてめずらしい。」
電話の向こうで、梓は何故か言葉を出すのをためらっている。
意を決したのか、口を開いた。
『…千里君と付き合う事になった……。』
優魅は笑ってしまった。自分の予想がピタリと合った事、そして梓が恥ずかしそうにしているのが頭に浮かんだから。
「よかったね。」
『うん…、そうかも。千里君って…優しい。それに、強いよね。』
「強い?」
『うん。』
優魅は昨日の夜の事を思い出した。
自分を弱いと言って、涙を流した千里。
千里が強いと、幸せそうに語る梓。
「……そっか。お幸せにぃ〜。」
『あ、馬鹿にしてない?』
「バカップルが誕生しないように祈ってるよ?梓?」
梓は笑う。
優魅は千里に電話しようと決めた。






ケータイを机に置いていたから、バイブは必要以上に震え音を立てた。
「おっと…。」
千里はケータイを開く。電話の着信。相手は優魅だ。
「もしもし?」
『恋の成就おめでと〜。』
いきなりのドッキリ発言に千里は戸惑った。
まだ優魅には言っていないはずなのに。
「まさか……柚木さんに聞いた?」
『うん。よかったね、OKもらえて。』
「ありがとう。そっちも頑張ってね。ほら…秋冬君が春夏ちゃんを好きだとは決まってないじゃん?」
優魅の言葉が聞こえなくなる。千里はしまったと、後悔した。
「…ごめん。」
『なんで謝るの?』
声が、優魅の声が変わったような気がした。
「…あのさ。」
千里はベッドに寝転んだ。


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