シスコン『第七章』-3
秋冬が見つけたのは、春夏の姿と、昨日知り合った白鳥だった。
―――オレは馬鹿か?こんな事してどうすんだよ……!!!
二人はファミレスに入って行った。秋冬も入って、白鳥と春夏が座った近くで、バレないような場所に座る。
二人は注文を済ませ、何かを話し始めたので、それに耳をかたむけた。
「びっくりしましたよ。まさか春日高校に転入したなんて。」
春夏はそう言うと水を飲んだ。
「オレもびっくりしました。クラスも一緒だなんて。」
二人は笑う。秋冬は何故かムッとした。
二人はそれから他愛の無い話で盛り上がる。秋冬はそれをずっと聞いていた。
そして、春夏が席を立つ。
「じゃあ、また明日学校で。」
「はい。お気をつけて。」
春夏はファミレスを出た。白鳥のおごりなのだろうか、会計はしていない。
それと不思議なのが、白鳥はまだ座っている。
秋冬は不審に思っていると、店内に誰かが入ってきて、白鳥の向かいに座った。
「わざわざ悪いな。」
白鳥の口調が明らかに変わった。
「話ってなに?」
それは女だった。
「オレと別れろ。」
「………は?」
―――……は!?
秋冬は驚いた。
「もっといい女がいたんだよ。だから、お前とはさよなら。バイバイ。それだけ。帰れば?」
あまりにも冷酷な言葉に、女が怒った。
「なに言ってんのよ!!あんたから私に告白してきたんでしょ!?」
「知らねぇよ。忘れた。」
「…最低!!!」
女のその声と、秋冬が立ち上がったのが、同時だった。
秋冬は女にぶつかってしまう。
「キャッ!!」
秋冬は倒れそうになった女を支える。
「大丈夫ですか?」
女は秋冬を一瞬見て、すいませんとつぶやいて、その場を去った。
「…どーも。」
秋冬は座っている白鳥を見下ろした。
「これはこれは。四世秋冬さん。」
「なに考えてんだ?」
秋冬の眼は、冷たい。
「なに…とは?」
「付き合ってた女あんな風に捨てて、姉貴に告白して、なに考えてんだって聞いてんだよ。」
白鳥は秋冬を見つめ、フッと微笑み、秋冬に座るように促した。秋冬は向かいに座る。
「欲しい物は手に入れる主義でね。」
「姉貴は物じゃねぇよ。」
白鳥は笑った。
「なにをそんなに怒っているのです?」
秋冬は言う。
「やり方だよ。女泣かせてまで欲しいのか?」
「えぇ。彼女はとても可愛いからね。」
「……は?」
秋冬は言葉を失った。
「あなたもわかるでしょう?彼女の容姿はとても魅力的で……、」
「いやいやいやいやちょっと待て!!!それだけの理由で…今の女振ったのか!?」
白鳥は当たり前のようにうなずく。
「それがなにか?」
秋冬は、確信した。
白鳥はまともな男じゃないと。ろくでもない男だと。