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恋する日々
【学園物 恋愛小説】

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恋する日々〜消えぬライラックと生い茂るノコギリソウ〜前編-4

「ちょっと…香織…!」
「…ん?おぉ香織じゃねーか、それに獅堂と藤野も」
「こんにちは、沙雪さん」
「あらあら、香織ちゃん偶然ね」
あやなは香織の後ろに隠れながら沙雪と呼ばれた人を見る。
綺麗な人…その他に褒め言葉が見つからないくらい…とても優しそうだし、スタイルも私なんかとは全然…
「今日はお友達とお買い物?」
「はい、皆で料理の修行を」
言いながら持っていたスーパーの袋を見せる。
「主にアタシだけどね、あっアタシ藤野理菜です!」
「獅堂あやなです…」
「あらあら、ご丁寧に。私のことは沙雪って呼んでね、皆そう呼んでるから。お料理の勉強なら私の所に来ない?」
「ふぇ?でも…いいんですか?」
「おぉそりゃいいや、来いよ」
理菜が驚くのも無理はない。傍目から見てもデートをしていたのに家に誘われ料理を教えると言うのだから。しかも相手である誠も乗り気だからだ。
「それじゃあ…お邪魔しようかな。いいよね、あやな、理菜?」
「ウン、アタシはいいけど?」
「うん…いいよ」
本当はあやなは断るつもりだったが香織の言葉に反論できなかった。それは、香織がこれほどまでに積極的だったからだ。いつもは自ら前へは出ずに後ろでサポートをしているのが常だった。
「よし、じゃあ行くか。はぐれんなよ?」
こうして誠達は商店街を後にした。


「ここって…」
案内され辿り着いた時に、あやなと理菜は驚いていた。着いた場所が思ってもいない場所だったからだ。
「日向…孤児院…?」
「おーい、帰ったぞー!」
誠は驚いている二人を気にせずに中に入っていった。
「あ!おかえり!まことおにいちゃん!」
するとすぐに小さな女の子がとてとてと誠の所に歩いてきた。
「ただいま風香、元気そうだな」
持っていた荷物を下ろし風香と目線を合わせる為に屈み優しく頭を撫でる。
「えへへ〜」
頭を撫でられるのが好きな風香は嬉しそうに笑う。
「お帰り誠!」
「おかえりまこ兄!」
誠が風香の頭を撫でていると横から二人の男の子が誠に飛び蹴りと体当たりをしてきた。
「ぐはっ!?」
完全に油断をしていた誠はモロに喰らい悶絶する。
「〜〜〜!!…二人ともいいモン持ってるじゃねぇか…。上等!!世の中の厳しさ教えてやる!!」
「よ〜し、今日は負けないからな誠!」
「金的目潰し凶器攻撃〜!♪」
「潤一!呼び捨ては止め!兄ちゃんをつけろ!凛!それは禁止だと言っただろ!」
潤一と凛、それぞれに注意をすると取っ組み合いの喧嘩が始まった。喧嘩と言っても危険性はなく、見ていて微笑ましいものだった。
「あっ!まこと兄ちゃんだ!」
「本当だ!」
「じゅん兄ちゃんとりん兄ちゃんがぴんちだ!みんなたすけるぞー!」
建物からわらわらと子供達が出てき、潤一と凛を加勢する。
「ふっ…お前等人海戦術如きで…ぐぉっ!この俺に…うげっ!敵うとでも…ぐはっ!ってタンマタンマ!少しは手加減をしろ!」
大勢の子供達の容赦ない攻撃に誠はもみくちゃにされていた。
「あらあら、皆嬉しそうね」
「相変わらずですね。」
目の前の出来事に沙雪微笑み、香織は呆れなが眺めていた。
「え〜と…大丈夫なの?助けなくて?」
「いつもの事ですから気にしなくて大丈夫よ理菜ちゃん。さぁ私達は中に入りましょ?誠君、その子達お願いね?」
「任せといて沙雪姉さん!飯楽しみにしてるかふぐっ!」
あやな達は沙雪に連れられ誠のやられ声を後にし建物の中に入っていった。


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