投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

恋する日々
【学園物 恋愛小説】

恋する日々の最初へ 恋する日々 16 恋する日々 18 恋する日々の最後へ

恋する日々〜消えぬライラックと生い茂るノコギリソウ〜前編-3

「……という事がさっき食堂であったわけだ」
教室に戻ると誠は教壇に立ちクラスメートに先程の事の顛末を説明していた。
「ひっどーい!」
「壱組の奴め…馬鹿にしやがって!!」
基本的に仲がいい参組の面々は怒りをあらわにしていた。
「そこでだ。久留米等教師陣の賭の対象にされて楽しませてしまうのは釈だが…壱組の奴等を叩きのめしてやろうぜ、どうよ?」
「異議なし!」
「私達の事見返してあげようよ!」
クラスが一丸となり、打倒壱組の旗を掲げた。
「あの…授業は…?」
教室の傍らに追いやられた古典の教師(田中一郎)がおずおずと聞いたが誰も聞いてはいなかった。
「はぁ…私は教師なのに…」
「あぁなったら誠は止められないですから」
落ち込む教師を香織が慰めていた。
「やるからには真っ向勝負!!正面から叩き潰してやろうぜ!!」
おぉー!と歓声の声があがる。
「はいはーい!真っ向勝負はいいけど、点取られて大差がついたらどうするの?」
「心配すんな藤野。俺と信太と礼で巻き返す。礼が戦略を練って俺が皆を率いれて信太が神風特攻をする、完璧だ」
「待て!俺の扱い酷くね!?」
教室に笑い声が響く。たしかに新崎の奴は腹が立つが折角の覇王祭だ、どうせなら皆で楽しみたい。
「信太のは冗談として、出場種目を決めるか。各自自信のある競技に…」
こうしてその後は出場種目を決める為に激論が交わされた。ちなみに古典の授業は潰れてしまった。


放課後。授業が終わりいつも通りに下校をするけども今日はいつも通りじゃなかった。神那君は急なバイトが入ったみたいで急いで帰っていった。工藤君と柳君は覇王祭の打ち合わせがあるからと学園に残っている。だから今日は香織と理菜ちゃんとだけで帰っている。
「それにしても、なんだか大変な事になってきちゃったね〜覇王祭」
「そうだね。でも覇王祭は男子メインだから私達ができる事はあまりないけどね」
覇王祭とは名の通り、覇王を決めるものであり競技の殆どが男子が行うものであった。それ故女子は後方支援、応援をするのみであった。
「でも皆にお弁当とか飲み物を用意したりとか私達にもできる事はあるよね?」
「…うん、そうだね」
香織は内心とても驚いていた。引っ込み思案で人との関わりが苦手なあやなが積極的に誰かと関わろうとし、しかもそれが異性の為だというのがさらに驚かされた。
これもアイツのおかげなのかな…
あやなが変わるきっかけになったであろう人物を思い浮かべ気づかれないように香織は微笑んだ。
「う〜んお弁当かぁ…アタシ料理苦手なんだよね〜…」
「それなら明日はちょうど休みだし、皆で特訓しない?」
「うん、いいね。じゃあ私の家でやろ?」
「さんせーい!食材の見分け方とかもやろ!」
それから分かれ道に着くまで明日の事を相談しあった。なんだか明日がとても楽しみになってきたな…。今まで友達とこうして色んな事を話したりした事なんてなかったから今は毎日がとても楽しい。…あの時香織から、一緒に鳳凰学園に行こうって誘われなかったらこんな風になれなかったんだろうな…
ちらっと横にいる親友を見て心の中で感謝をする。
ありがとう、香織…


昨日は今日が楽しみで仕方なかった。でも今は…
「ほら、次はあっちに行くよ誠君」
「うぁっ…まだ行くのかよ。相変わらず買い物長いな」
昨日の約束通り、香織と理菜ちゃんと料理の特訓をする為に買い出しにあおぞら商店街へと来ていた。食材を買いお店を出た時に偶然見てしまった…神那君が私の知らない女の人と仲良く買い物をしている所を…
「あれ?どうしたのあやちゃん…ってあれ、神那君だ」
「あぁ、あの人は…」
「邪魔しちゃいけないから…行こっか」
嘘だ…本当は神那君が誰か知らない女の人と仲良くしているのを見たくないだけ…私って嫌な子だな…
「…あやな、行くよ」
「えっ…?」
香織はその場から離れようとするあやなを強引に連れ誠の所へ向かう。


恋する日々の最初へ 恋する日々 16 恋する日々 18 恋する日々の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前