シスコン『第六章』-4
「いよっしゃぁぁあ!!!後一つまで迫りましたっ!!!みんなありがとう!!!」
春夏が雄叫びをあげながらガッツポーズをした。みんながパラパラと拍手をする。
「で、後は何が残ってるんだ?」
ちなみに、時刻は午後六時。
「英語が四十ページ………。」
「あぁ、一日一ページやれば終われるやつな……。」
澄が言った。秋冬は呆れた。
「一日一ページもできないのか………?」
春夏は笑う。
「だって夏休みって暑くて宿題なんかやってられないじゃん?」
「条件はみんな同じだ………!」
秋冬はゴロンと寝転がった。
「……秋冬?」
「その四十ページくらい、徹夜で終わらせやがれ。」
春夏は秋冬による。
「ちょ……手伝ってよぉ…。」
「いーやーだー。もう右手痛い〜〜。腹も減ったし。」
優魅が秋冬の顔をのぞきこむ。
「じゃあ……私作ろっか?」
「「「「えっ!?」」」」
その場にいる全員が驚いた。
「いや………よかったらだけど。」
不意に、秋冬の携帯電話が鳴った。
「ん?電話だ。もしもし?」
千里が笑う。
「優魅ちゃんって料理上手なの?」
優魅はふふっと微笑んで、人差し指と親指の間に少し空間を作った。
「ちょっとだけね?」
秋冬が携帯電話を閉じる。
「今日母さん帰ってこねぇってさ。糞親父も出張中だし………ここでメシ食って帰っても問題無いぜ。」
「ひょほっ!?やりぃっ!!」
澄が指をパチンと鳴らす。
「つーわけでちゃんと家に電話しとけよ?」
秋冬が欠伸をしながら言った。春夏以外の三人がうなずく。
「さて、じゃぁメシの準備しますか。」
「いや、だから私やるよ?」
「……ほんとにいいの?」
「うんっ。」
「じゃぁ………お願いします。」
秋冬はよろよろと部屋を出た。そしてそのままトイレに向かった。
「………あいつジジィみてぇだな。」
澄が笑う。
「旅行の時も、油がダメって言ってたもんね……。」
千里もクスクスと、笑いをこらえ切れない。
「そういうとこ、馬鹿親父に似たのかな………。」
一人春夏がつぶやく。そのつぶやきは、誰の耳にも届かなかった。