『マニラバ!‐3.5』-3
「藤堂先輩に、なんか言われた?」
茜が俺のところにやってきた。
フッ やっぱりこいつにはかなわないや‥
「茜は何でもお見通しなんだな」
あたりまえよ。と茜は笑ってる。
俺はゆっくり、自分でも確かめるように話し始めた。
「‥俺さぁ、別に舞と付き合いたいとか、そういうの‥なかったんだよ。
はぁ〜‥俺、いつのまにこんなに好きになってたんだろ。――あいつに、藤堂に、舞を取られたくないって思ってる。」
「ばーか。」
えぇっ?!
「気付くの遅いっつーの!‥ったく、どーせ面倒見切れるのは俺しかいないって安心仕切ってたんでしょ!――舞は、あーいうのに慣れてないから今は戸惑ってるけど‥あたしは、時間の問題だと思うよ。」
茜の勘は当たる。
「あんなストレートに来られるとやばいって。特に舞は単純だから。リョウにそうなれとは言わないけど、ちょっと素直になってみたら?」
素直に――
「そう‥だな。俺いつもケンカ越しだもんな。この間も言いすぎたし」
「そうだよ!あんたの愛情表現てまるで小学生だよ(笑)」
確かに、好きな子をいじめるなんて小学生だ。
茜は続けて言う。
「前髪切った時だって思ってもないこと言っちゃってさ。今日も切ったって気付いてた?
女はね、そういう些細なこと言われるの、うれしいんだよ!あんな舞だって」
気付いてるよ‥気付かないわけない。
素直に‥か。藤堂は言ったのかな――。
あっ!!
「藤堂のやつ、今日もう一度告白するって…!」
俺は思い出して言った。
「そっかー。藤堂先輩なかなかやるな‥
ねぇリョウ、あんたはこれからどうしたいの?」
どうしたいんだろ‥俺は。わからない――。
だけど、俺は舞を探してた。
やっぱり気付くのが遅かったのかもしれない。
藤堂はきっと思ったことを素直にぶつけて
きっと誰よりも先に舞の足の異変に気付いて思ったまま動いて――
舞が藤堂の肩をかりて歩いているのを見つけた。
俺には見せたことない顔をして‥
茜の勘は、当たる――。