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『半透明の同居人』
【悲恋 恋愛小説】

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『ルイのネックレス〜半透明の同居人より〜』-2

 「ほら・・・やっぱだめじゃん」
 「いや、でも俺だったきっと五等だったし」
 シンヤはそう言ってはいたが明らかに、落胆していた。それなら最初から自分が引けばよかったのにと内心思っていた。シンヤは四等の?アメ好きなもの二つ?を受け取る。
 「リクはくじ引かないのか?」
 「僕は今日はいいよ。5円チョコとあとなんか買う」
 本当はくじをやりたかったけど、なんとなくシンヤがいない日の方がやりやすい気がした。
 僕がお菓子を選んでいると新しい客が固い戸を開けた。僕が、入り口の方を見るとそこには幼なじみその二のルイが入ってきた。
 「よお。ルイ。お前も買い物か?」
 シンヤが馴れ馴れしく声をかける。その光景は僕にとってあまり面白くない光景だった。僕はルイとは幼なじみだけど、あまり話したことがなかった。それは、僕がルイを好きで話すのがなんとなく恥ずかしかったからだ。
 「ん?ルイもくじ?」
 シンヤは目ざとくルイがおばちゃんに五十円玉を渡したところを目撃したらしい。
 「何狙ってんの?」
 「ネックレス。あれ。」
 僕はルイが指差したほうを見つめた。そこには、おもちゃではあるが良く出来た、ネックレスがビニールに包まれてぶら下がっていた。
 「なんだ、そんなもんが欲しいのか。そんなん面白くないからさ。一等当てたら、プラモにして俺にくれよ。」
 「なんでよ!プラモデルの方が面白くないじゃん」
 「ちぇ。リクもそう思うよなあ?」さ
 「うん・・・そうだね」
 僕はどう答えるべきか迷ったけど、確かに、シンヤの言うとおりネックレスのどこがいいかなんてわからなかった。
 「男子にはわからないよ」
 そう言い放って、ルイも底の浅い箱から三角くじを一枚引いた。
 「あーあ」
 明らかに落胆したルイの声がした。
 「ハイ。ガムね」
 やはり、五等のガムだった。


 僕は家に帰って後、小遣いの残金を確認した。貯金箱に四百円ある。小学生ながらにいつかの何かのために貯めていたものではあるが、僕は決心していた。これで、八回くじが引ける。今がいつかの何かのときだと心に言い聞かせた。
 
 決戦は次の日曜だ。
 
 日曜日。僕は先週の月曜から心臓が波打っていることがわかった。僕は自転車にまたがり近所の駄菓子屋に向った。全財産を握り締め、駄菓子屋の固い戸を開ける。しかし、不意に僕の目に飛び込んできたのは予想もしない光景だった。
 「ネックレスがない」
 僕はおばちゃんにネックレスはどうなったのか聞いた。
 「あれ、昨日当たっちゃったよ。リクちゃん、あれが欲しかったのかい?」
 「ううん・・・そうじゃないけど」
 僕は誰かが当ててしまうことなど、全く考えてもいなかった。四百円もあれば当たるだろうとただ高をくくっていただけだった。
 そのあと、さらに自転車で五分かかる別の駄菓子屋に行ったがそこの三角くじの景品にネックレスはなかった。
 もう、駄菓子屋はない。
 僕が半分諦めかけた時、この近くにおもちゃ屋があることを思い出した。くじでなくそれと同じおもちゃを買おうと考えたのだ。
 僕は、さらに自転車を走らせ、そのおもちゃ屋に向った。そのおもちゃ屋はショッピングセンターの一角にある普段なら誕生日以外では買ってもらえないようなおもちゃがある場所だ。僕はネックレスを探した。ネックレスはすぐに見つかったが、明らかにそれはおもちゃとわかるもので駄菓子屋の景品のそれより劣っていた。飛行機のプラモは安物なのに、ネックレスだけなぜいいやつなんだと内心思いつつさらにネックレスを探した。駄菓子屋のそれはおもちゃ売り場にはなかった。おもちゃ屋の店員に聞いて見つけたのは、隣の雑貨屋。本当に、駄菓子屋でみたものだった。駄菓子屋はどこで手に入れたか知らないが、安価ではあるがおもちゃではないネックレスを景品としていたのだ。
 僕は恐る恐る値札をめくる。


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