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たったひとこと
【コメディ 恋愛小説】

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たったひとこと【第6話:写真は嘘を語らない】-3

「あのさ・・・」
「・・・はい」
「ちょっと見て欲しい物が・・・」

まさか・・・婚約指輪―――!!?
だっ、ダメだよ、まだアタシ達16歳だし、そういうのはもっとじっくり付き合ってから・・・

「この写真なんだけど・・・」
「ヨロシクお願いしま―っす!!」
「・・・へ?何が?」

ぽかんとしている成之の手には1枚の写真。

「しゃ、写真・・・?」

アタシのラブラブライフが、ジュ―ンブライドがぁ!

「ここ、ここんトコなんだけど」
「・・・うえ?」

指の下を覗きこむ。
ボヤけた人混みの奥の方に見えるのは一組の男女。

「・・・この2人がどうかしたの?」
「マリ姉と六呂に似てないか?」

まじまじと目を細めると、確かに背の高い女性はマリ姉で、隣の男は六呂に見えなくもない。

「見えなくもないけど・・・って」

2人はラブホテル街の入り口に足を踏み入れている。

「・・・」
「・・・」
「・・・ま、まさか。人違いだよね」
「でも女の人の方の腕についてるの風紀って書いてるように見えないか?」

確かにうっすらと読み取れる文字。

「・・・うん、見える・・・」
「どうする?」
「どうするって・・・?」
「もしこれが的場とマリ姉だとしたらこのままじゃマズイだろ?確かめないと」
「尾行する、ってこと?」

頷く成之。

「・・・一平くんは騒いで見つかりそうだし、くるめは話したら傷つきそうだし、バカ娘は問題外。ってことでアタシな訳か。はあ」

そんな所だろうと思っていたが、口に出すとますます寂しくなる。

でも信用されてるんだよね。そうだ!ガンバレアタシ!

「じゃ放課後行けるな?」
「でも」

言葉を遮る。

「やっぱりくるめには教えた方がいいと思う。一緒に来るって言うんならその時は」
「そうだな・・・」
「というか何で成之がこんな写真を持ってるの?」

あ・・・やべ

「そっ、と、友達にもらったんだよ!」
「友達?」
「友達!」
「あれ?この端っこの方の女の子、ウチと同じ制服だね?」

写真をひったくって慌ててポケットに直す。

「そっそろそろ戻ろうぜ!授業始まっちまう!」


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