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たったひとこと
【コメディ 恋愛小説】

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たったひとこと【第6話:写真は嘘を語らない】-4

○○○○○○○○○○○○

「うん、確かにろくちゃんとマリ姉ですね」

まるで1+1の答えを述べるようなくるめ。

「ですねって・・・平気なの?」
「何がです?」
「何がって・・・心配にならないの?」
「私はろくちゃんを信じてるから」

満面の笑みで返されると何も言えない。

○○○○○○○○○○○○

休日より人通りは少ないとはいえ、目を離すと見失ってしまいそうだ。

「あれ?どっち行った」
「さっきからあそこにいるって・・・」

詩乃が指さした先にゆっくりと歩く2人の姿。2人共長身なのが救いだ。確かにその様子だけ見ていると・・・

「カップルだな」
「カップルよね」

学校帰りの彼氏彼女としか思えない。

「まさか本当に2人でいるとはな・・・」
「あっ、何かお店入る!」

自動ドアの向こうに消えてゆく2人。妙にピンクがかった外装と店内。
2人の跡を尾けてみると、そこにあったのは女の子向けのファンシ―ショップ。

「これって完全に・・・」
「デ―トじゃん」

あぁどうしよう・・・くるめに何て言おう・・・

「・・・にしても似合わんな」

身長170超の男女が可愛らし過ぎる商品を手に取っては語り合うのは正直不気味だ。
何というか、この2人のデ―トならお寺とか名所の散策という気がする。

「あっ、何か買った」
「出てくるよっ!早く隠れて」

店を出た2人は、道を引き返そうとせずに進む。そしてその先には・・・

「・・・マジかよ」

写真通りのラブホテル街。
入り口だけはパリを意識したようなア―トな作りだが、その向こうは立ち並ぶ恋人たちの仮宿だ。

入っちゃダメ、入っちゃダメ、入っちゃ

だが詩乃の願い虚しく、躊躇なく足を踏み入れる2人。

「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「・・・帰るか、なあ」
「・・・」
「あ―腹減った。コンビニ寄っていい?」
「・・・」
「・・・分かったよ。追いかけよう。でも、それでもし、その、店、に入ったら諦めよう」


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