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あの日の偶然(上)
【青春 恋愛小説】

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あの日の偶然(下)-2

「ぁ、、あ〜ごめん?大丈夫?」
冗談で言ったつもりが、本当に俺の目は潤んでいたっぽい。

「あはは。大丈夫大丈夫♪さっきアクビしただけだからぁん♪じゃ、行こうか♪」
って、フォローなんかしちゃったりして〜

「ん♪」

…カララーン
喫茶店といえばって感じのドアについている鈍いベルの音が鳴る。
「あー俺ココ入るの初めてだな〜。隣の服屋はたまにくるんだけどね」

って言うより女の子とこんな喫茶店とかって体験自体が初めてだったし、何か珍しいところでも来た様に、せまい店内をきょろきょろと見渡す。

そして窓際の向かい合わせの席に座り、俺がトーストサンド、そして彼女お目当てのチョコパフェを注文する。
こうしてると誰か見たらデートだって思うんだろうなぁ

デートか…
日ノ本さんはどう思ってるんだろ?

なんとなく、ソコら辺を聞いちゃおうかなんて思って声を掛ける
「あ、亜美ちゃんは…」
「ん?」
でも、いざっとなるとそれ以上が出てこない。

っと、そこにパフェが運び込まれる。
「にゃはぁ♪まってましたぁ♪」

自分から言い出したとはいえめっちゃ困ったその瞬間に
ナイスタイミング店員!

「じゃーいっただっきます♪無月くん、ホントありがとね♪」
そう言って幸せそうに一口、二口と美味しそうに頬張る。

そして、思い出したように彼女が言った
「あーそうそう、結構前だけど、修学旅行の写メ覚えてる?」

当然覚えている。っていうより、コレは俺の宝物だ!
「あれね〜。どしてきなり写メったか分かる?」

「ぇ…?な、何?」
俺は何かの期待に胸を膨らませる
彼女は顔を近づけて小さな声で囁いた
「実はね…あのマスクの下…鼻の下のところね…私、鼻毛の落書きされてたのぉ〜」

俺はトーストのセットでついてるコーヒーを噴出しそうになった。

「あ、コレ、寝るときの班が別れてたから、やえちゃんとかでさえ知らないんだから、絶対絶対二人の秘密ね!!?」

なるほど
落書きされちゃった仲間だったってことか。
俺は大笑いした。
「あー笑いすぎぃ!だってだってあの時、大きいマスクで隠してたけど、一人ですっごい恥ずかしくて〜そこに無月くんあんな書かれてて、超堂々と現れてさ〜」

ビルの隙間から夕焼けが差し込む…喫茶店レムルの窓側
茜色に染まる二人の、楽しそうなアホアホな会話はずっと続く。


…喫茶店を出た二人の影は、触れるかどうかぐらい手が重なっていた。

そして…俺たちの長い長い時間がこうやって始まっていったんだ。。

そう、あの日…


【肉】と【鼻毛】から始まったんだ。。。


       〜FIN〜


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