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あの日の偶然(上)
【青春 恋愛小説】

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あの日の偶然(上)-1

「あの日の偶然」

俺の名前は「門田 無月(かどた むづき)」

そう、高校生最大のイベント
【修学旅行】
今日はその二日目

偶然にも友達の友達の繋がりで、クラスに居ながらもほとんど話したことも無かった憧れの君「日ノ本 亜美(ひのもと あみ)」と同じグループ。
グループって言っても自由行動を仲間同士で連れ合う感じだけれどね。


昨日はなかなか寝つけなくって、朝食のバイキングもパスして一人お寝坊。

「少しは喋れるかな」
「仲良くなれないかな」
なんて思いながらギリギリまで寝て、手軽にカロリーメイトで朝食を済ませ皆の元へ。

一昨日から少し風邪をひいてマスクをしていた彼女。
今日も一応マスクをしているけど、元気そうな感じで俺の不安も寝不足も、あの子の笑顔に癒された。

そんな彼女と、ふと目が合った
彼女は少し恥ずかしそうに笑って近付いてきてくれる。
「おはよ♪」
そしておもむろに携帯をポケットから取り出すと、俺と並んで自分撮りでパチリ☆

「ぇ…」
突然のことに戸惑っている僕に
「うまく撮れたよ?」
にっこり笑って携帯を見せる

心臓はバクバク
ぎこちなくも平静を装い、携帯の画面を覗く

って…俺の額に【肉】の字…

その瞬間、彼女は失笑
友達達は大爆笑

「ちょっ…ぉまぇらっ」
携帯をかえし、慌てて額を指で擦り文字を落とす。

まぁノリで大バカばっかりやってる俺たちは、これくらいは普通なのだが、さすがにこれは恥ずかしすぎる。
もちろん奴らは俺が日ノ本さんを好きなことなど知らない。

いつもの他愛ない冗談で一気に場を盛り上げたってくらいの感覚だ。

「門田君、全然落ちてないよぉ」

日ノ本さんが脇に抱えたバッグから手鏡を取り出して見せてくれた

「ごめぇん!無月っ!コレで書いちゃった!」
友達から投げ渡された物…
油性の王道【マッキーペン】

「ぉ…ぉまぇらぁっ!バカァ〜コレじゃもうお嫁にいけなぃわぁ!清水の舞台から身投げしてやるぅ!」
そういって、元々一番最初に皆で行く予定だった清水寺に一人で走り出す。

しっかし、どんな恥ずかしくても習慣(?)てのかな、普通にノリで返してる自分って凄いなぁなんて思ってみたり

一人で走り始めてすぐ後ろを振り向くと日ノ本さんが一人で追いかけてくる。
当然他の奴らは見向きもせず談笑しながら歩いているが…

少しスピードを上げても日ノ本さんは頑張って着いてくる。

…って、結構走ってるよな…

もしかして、さっきのノリが理解しきれずに責任みたいなの感じちゃったのかな…

と、その時、日ノ本さんが足を止め咳き込み出す

あっそうだ
彼女は風邪をひいてたんじゃないか…

急いで彼女に駆け寄った。


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