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強引グマイウェイ
【コメディ 恋愛小説】

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続☆強引グマイウェイ-2

久しぶりのカラオケはとても盛り上がった。
ただ、最後に友達が歌った切ないラブソングが蒲原くんのあの表情を蘇らせ、少しだけ寂しくなってしまった。
一人、家路を急ぐ。
辺りはすっかり暗くなってしまった。
蒲原くんに言った通り、家に着くのは9時くらいになるだろう。
「はぁ…」
何となくため息が零れる。
ふと、コンビニに目をやると、柄の悪い男の子たちがたむろしていた。
私を見ている気がする。
嫌だな…
その時、携帯電話の着信音が鳴り始めた。
蒲原くんからだ。
「もしもし」
「俺。今、どこだ?またうるせぇって言われちまうかもしれないけど、やっぱり気になったから」
「うちの近くのコンビニの所。バス停のある」
「おお。ちょうど俺も近くに…」
「蒲原くん」
「あ?どうかしたのか?」
「なんか…ヤンキーたちに見られてる」
「お前、一人?」
「うん」
仲間の一人がこちらに近づいてくる。
「待ってろ」
「えっ、ちょっと…」
電話が切れてしまった。
いかにも悪そうな男が、私の肩を叩く。
「何やってんの?」
「…家に帰るところです」
「まだ早いじゃん。遊びに行こうよ」
「急いでるんで」
「冷たいなぁ」
男に腕を掴まれる。
振り払い、逃げようとしたが、男の仲間たちに囲まれてしまっていた。
「乱暴したりしないからさ?まぁ、あんまり歯向かうとわかんないけどね」
ニヤニヤと私の身体を物色する。
気持ち悪い…蒲原くん、早く助けに来て…
「おい」
ドスのきいた低い声。
振り返ると、蒲原くんがバイクに跨がり、こちらを見ていた。
やばい、白馬に跨がった王子様に見える…
「なんだ?テメェ」
「テメェ?誰に向かって口きいてんだよ。つーか…」
蒲原くんがバイクから降りる。
彼の迫力に、すでに男たちは怯んでいるようだ。
「触んな」
蒲原くんの腕の中に引き寄せられる。
どうしよう…カッコイイよ…
「ああ?こっちの人数わかってんのか?」
「やるなら多い方がいい。人殴るの大好きだからな」
蒲原くんの言葉に、男たちが後退りする。
「早くしないと、全員殺すぞ」
「ちっ…」
男たちがいそいそと去ってゆく。
私は安心より何より、彼へのトキメキで胸がいっぱいだった。
「お前のまえじゃなきゃ、マジで全員殺してたんだけどな」
短気な彼がケンカをせずに私を助けてくれたことが、とても嬉しい。
大切にしてくれてるんだなぁ…
「蒲原くん、ありがと」
「…お前さぁ…」
「ん?」
「遅い時間外出するなとは言わないから、そのときは俺を呼べ」
「…うん」
「スカートも、膝下5センチにはしなくていいから、足の出しすぎはやめろ」
「うん」
「…うざがんねぇの?」
「うん」
私が答えると、蒲原くんは照れ隠しに頭をガシガシとかいた。
「…他にもいろいろ言いてぇけど、キリねぇからな」
「例えば?」
「やたらプリプリした唇も嫌だし、やたらキラキラした目も嫌だし、やたらたけぇ鼻も嫌だ」
「何それ」
「お前、もうちょっと不細工になれよ」
彼があまりにも大真面目な顔で言うから、つい笑顔になる。
「俺のこと束縛きついって怒るけどよぉ、お前がムダにそーゆー身なりしてんのが悪いだろ?俺様は悪くねぇ」
素直に、『お前が可愛いから心配なんだ』って言ってくれればいいのに。
でも、そんな彼を見て、私は心が温かくなるのを感じていた。
「また、ピンチになったら助けにきてね?」
「当たりめぇだ。お前は俺のなんだから」
束縛も、たまには良い。
そう思った。
ちょっとだけね。


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