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強引グマイウェイ
【コメディ 恋愛小説】

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強引グマイウェイ3-1

「こういうのが好きなの?」
それを手に取り尋ねると、一瞬にして視界が真っ暗になった。
背中には軽い痛み。
な、なに…?
「ワリィ!」
蒲原くんの心配そうな顔が天井の前に現れ、やっと、彼に突き飛ばされたのだとゆうことに気が付いた。
「そこまで焦らなくても…」
背中をさすりながら、起き上がる。
「べつに引かないよ?エッチビデオくらい」
ゴンッ。
蒲原くんの手もとから、それが落下した。
「ちげーよ!こ、これは…その…とにかくそんなんじゃねぇ!!」
慌てた様子で拾い上げ、彼は喚く。
いやいや、しっかり見ましたから。
女の子がでっかい胸寄せて、ニッコリ微笑んでるパッケージ。
今日は初めての蒲原家訪問。
思ったより綺麗だなぁなんて部屋を見回していると、ベットの下から怪しげな箱がはみ出していた。
もしやと取り出してみると、予感は的中。
そして、今に至る。
「お、お前、俺がそんなちいせぇ男に見えんのか?興味すらねぇよ、そんなもん」
見えます。
身体は大きいんだけどね。無駄に。
「マジで違うからな!いいな!!」
蒲原くんは勝手に焦っているけれど、私は本当に気にしていない。
むしろ、健康でなにより。
でも、こういう蒲原くんを見ていると、つい、からかいたくなってくるわけで。
「ひどいよ…私がいるのに…」
いじらしく唇を噛み締めてみたりして。
彼の心配を煽ってみる。
キャラが違いすぎるし、さすがに演技だってバレるかな?
「お、おい…」
あ、バレてない。
バカだもんな。
「なんでそんなの持ってるの?私に飽きちゃった?」
「ち、ちが…」
「嘘!私より、そういうスタイルのいい女の子が好きなんでしょ?」
笑いを堪え、慣れない上目遣いに挑戦。
ああ、目が乾く。
蒲原くん困ってるし、そろそろ冗談だってバラしてあげよ。
「蒲原くん、ごめ…」
「そんなわけねぇだろ」
私の言葉は、蒲原くんのワントーン低い声に遮られてしまった。
「いや、あの…」
「俺が抱きたいのはお前だけだ!」
有り得ないクサさの告白に、私は耳を疑う。
加えてあまりの真剣な表情に、目も疑う。
「それに、最近は本当にこんなん使ってない」
いや、いいし…
あなたの性生活に興味ないし…
「そういうことするときは、お前を想像してる」
「…キモ…」
思わず本音が漏れたが、彼は構わず私の肩に手を置いてきた。
「でも、俺はお前が大事だから、お前の心の準備ができるまで待つ」
「…あと十年先でも?」
いつもの怒声がやってくるだろうと身構えたが、彼は手の力を少し増しただけだった。


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