好きな人と大切な人-3
あっ‥‥‥
目が‥合った‥?
今、確実に俺を見てる。
動けない‥眩暈がする。
山田さんも動かない。表情はよく見えないけど、きっとあの時と同じ顔してる。
しばらくそのままでいたが俺は彼女から目をそらした。
後ろから優衣が自転車に乗って来たから。
なんだかものすごく罪悪感を感じた。俺はいつだって優衣を一番に想っていたはずだ。よく笑って、またに泣いて、それでもまた最後には笑うんだ。俺はそんな優衣が一番好きなんだ。
だから‥
ほんの数秒だけでも、優衣より彼女のことを想ってしまったことに罪悪感を感じる。
ダメだ‥‥。
もう昔のことなんだから、忘れなきゃ‥。
ワスレナキャ‥‥
キツク、キツクココロニフタヲ‥
授業なんかまったく聞いてなかった。
新しいクラス、新しい机、初めて会う人。
そのすべてに違和感を感じた。
きっとこの空間に彼女がいたら、それだけでこのわだかまりは消えるんだろう。
昼休みに圭佑が話があるから、放課後あけといてと言われた。
少し元気がなくて、真面目な顔して‥‥。
何があったんだろう。
俺の知らないところで歯車は回りだす。
放課後、教室に圭佑が来てそのまま圭佑の家に行った。久しぶりに入った圭佑の部屋は何一つ変わっていなかった。
部屋にいる俺たちが変わってしまったことを浮き彫りにするかのようだった。
『奏人‥佐倉とはどう?』
やベぇ‥なんか気まずい
「どうって‥別に、普通だけど?」
『そっか‥‥‥俺さ‥‥‥結構前にサッちゃんに好きだって言ったんだ。』
サッちゃん‥?あぁ、アノ人ね‥。