=《蒼閃機甲バルトーク》= 〜第弐斬「すれ違う告白」〜-38
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夜道…………。
一週間前の出来事もあり、水無月市は緊張の渦の中にいた。
そんな中、周防蒼真、美作美月が歩いている。
「………………。」
「………………。」
言葉を発せない雰囲気が自然と形成されていた。
美月は、目の前で起きた事が信じられず、どう言葉に表現したらいいか分からないでいる。
蒼真も、それを分かっているから、美月が頭の中で整理し終わるまで、黙って待っている。
蒼真はいい奴なのだ。
「………………。」
「(………何よ、勘違いしてた私がバカみたいじゃない。)」
言葉には言えないので、心の中で罵倒する。
「………………。」
「(………蒼真が悪いのよっ!"明日"なんて言うからっ!)」
そう、"今日"と言っていれば、美月は全てを理解した状態でこの状況下にいたはずなのだ。
そうすれば、ここまで取り乱す事もなかったし、蒼真に助けられた事を素直に喜べたのだ。
「………………。」
「そもそもなんで部活の後の屋上なのよっ!?そんな告白する気満々だと思わせるような場所選ばないでよっ!!」
確かに……………。
ごもっともです。
「………………。」
「(とにかく、全部蒼真が悪いっ!)」
一方的に罵倒し続ける。
だが、蒼真には直接言わない。
うれしいから。
助けに来てくれて。
そして、さっきの言葉。
"それで、戦えるなら…………。守れるなら…………。"
「………………。」
「…………////。」
そんな美月を隣にしながらも、蒼真はずっと目線を真っすぐにして、前を向いていた。
その蒼真を、美月は見てみる。
「………………。」
「(あ……………。)」
人間というものは、何かを追い続けている時、凛々しく見えるという。
蒼真も、その部類に入っていた。
追い続けているのだ。
世界の平和を。
世界の、日常を。
「………………。」
「(…………何よ。)」
美月の愚痴、再燃。