=《蒼閃機甲バルトーク》= 〜第弐斬「すれ違う告白」〜-33
「っ!?」
すぐに後ろに向き直り、刀を構え直した。
「(感触がないっ!?)」
そう、あるはずの"斬った"という感触がない。
つまり…………
「効いてない………。」
サイシルド雌に…………傷一つなかった。
両腕の盾状の外骨格で防御している。
「……あはは、まいっちゃうね。」
『うむ。』
「あの盾状の腕がやっかいだ。」
『うむ。』
「だいたい、なんでカマキリが盾なんだよ。」
『我に聞くな。エンシェントとはそういう者なのだ。』
「でも、カマキリは牙なんか生えてないよ。」
『それがエンシェントだ。』
「…………はぁ………ってぇっ!?」
サイシルド雌が目の前で鎌を横薙ぎに振っていた。
「やばいっ!」
跳躍。
自分の足の下を鎌が通る。
風切り音が妙にリアルだ。
「あ……危なかった。」
サイシルド雌から少し離れて着地。
『仕方あるまい。』
「え………対処できるの?」
『我は、これが本来の姿ではないと言っただろう。』
「う、うん。」
『我の力の一部を解放する。』
「え………できるの?」
『うむ。だが、この姿になるのもそうだが、意識の共有というものはお前の精神に負担をかける。さらに、我の力を解放すれば、負担も増大する。一週間前みたく、倒れるかもしれぬ。…………それでもやるか?』
「それで、戦えるなら…………。守れるなら…………。」
一週間前の決意。
美作美月は………オレが守る。
絶対に。
美月を守るためなら、オレは命を懸ける!!
『うむ、よい決意だ。では共有を解除しろ。』
「うん、シフトダウン、ファルコンモード。」
変形を解除。
元の戦闘機になり、操縦桿も元に戻す。
サイシルド雌の周りを飛び回った。
『前方に"鳥"の印があるはずだ。押せ。』
「鳥………これか。」
ピッ
鳥のマークが描いてあるボタンを押す。
『いでよ、"ガルダ"!』
バチッ
空中で雷がほとばしった。
そして………