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=《蒼閃機甲バルトーク》=
【学園物 恋愛小説】

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=《蒼閃機甲バルトーク》= 〜第弐斬「すれ違う告白」〜-19

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鼻歌など歌いながら、一階で夕食を美月が調達している頃…………


彼は…………山田氏は…………いた。


だが、果たして生きているのだろうか?
顔面は真っ白で、さらに片目が白目むいている。
怪しさ100%の姿で、2階をうろついている。
そんな山田氏を、婦人服を選んでいたおばさんが、凝視している。
当然だろう。
なにせ、"生きているとは思えない"風貌なのだから。
そのあまりの姿に、おばさんは山田氏に声をかける。

「あの………大丈夫ですか?」

山田氏はおばさんの方をゆっくりと向いた。
なぜか、ギギギギギ…………と、鈍い音がする。

「具合でも悪いんですか………?」
「あ……………あ………………。」

山田氏は、声を発する。
奇声を…………。
その様子を見て、さらにおばさん、

「ちょっ………ホント大丈………………」

おばさんの発言は、そこで強制終了となった。
発言の途中で、山田氏が咆哮したのだ。
現場近くにいた客全員がビクッとして、咆哮の発生源を見る。
咆哮は………止まらない。


声色が……だんだん変わってきた。
山田氏本来の声と、さらにもう一つ声が聞こえる。
それは……………





山田氏の……中にいる……奴の………





突然だった。
本当に突然、山田氏は"裂けた"。
頭のてっぺんから裂け、中身があらわになる。
赤くない。
むしろ白い。
その不気味な色が、彼は人間ではないと示していた。
やがて山田氏が"剥がれ落ちた"。

中は………虫………虫型の………エンシェント。
白い体、赤い眼、両腕には盾型の広い外骨格、爪が並んだ手の甲から鎌が生えていて、さらに、背中に四枚の羽。
カマキリのエンシェント―――サイシルド―――。


――――おばさんは悲鳴と共に、自らの血に溺れた。


同時に、関係者以外立ち入り禁止のドアが開け放たれる。
そこから、大量の紫色のエンシェント、サイシルドソルジャーがはい出てくる。
数は………わからない。
とにかく、数はかなり多かった。
体が紫色、眼は青く、ただ、特徴的な盾型の外骨格がない。
だが、鎌は健在だ。
そして…………各々の背中からチューブが出ている。
それは、ドアの中へと繋がっていた。


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