=《蒼閃機甲バルトーク》= 〜第弐斬「すれ違う告白」〜-10
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夜のミナヅキデパートは、怖い。
だが、怖いなど言っていては、警備員は勤まらない。
カツンッ………カツンッ………カツンッ……………
物音は、一切ない。
ただ、沈黙が辺りを包むのみ。
「ふわぁ〜〜〜〜〜〜〜………。」
だから、警備員の男は欠伸などしながら、デパート内を見回った。
当然、何もない。
あった事など、一度もない。
「…………たる。」
男は、正直な感想を漏らした。
帰りたいのだ。
早く帰って眠りたいのだ。
「もういっか………。」
仕事しろよ。
男は、休憩室へと入った。
「……………?」
いや、入ろうとした。
だが、出来なかった。
休憩室へと続く通路の奥から、物音がしたのだ。
「…………誰か、いるのか?」
始めは仲間だと思った。
だが、今日の当直は自分だけのはずだ。
だったら仲間のはずがない。
「……………誰だ…………。」
懐中電灯を持ち、奥へと向かった。
電気のスイッチを探る。
だが、見つかる前に、懐中電灯がとある物を照らした。
「な…………なんだよ………これ。」
まったく………一週間前の怪物騒ぎの次は、これか。
―――――でかい……卵?
「あ………あ…………。」
男は、恐怖におののき、後ずさる。
ピシッ
すると、卵にヒビが入った。