「保健室の小さな秘密」-5
「あ、あれ…?」
ブラウスとスカートだけだけど…。
周りを見ると、汚れたシーツもまとめられてて。
「片付けて…くれたの?」
悠は上半身だけ裸のまま、起き上がる。
「ああ、そのままにしとくのもなんか…」
頭をかきながら下を向く。
「ありがとう」
片付けてくれたのもそうなんだけど、なんだか色んな意味をこめた。
それが悠に伝わったかどうかはわからないけど。
あぐらをかきながら私の方へ向き直る。
「奏子から見たら、俺なんてすごいガキだと思うけど…」
顔を赤くしながら、一生懸命言葉を探す悠が…愛しい。
…愛しい…?
その言葉に、胸が高鳴る。
あ…自覚してきたら、なんか私も恥ずかしくなってきた…。
「俺…どうしても奏子が好きなんだ。先生だからとかって理由で諦められない」
まっすぐな瞳。
―だからその瞳で見られると抵抗出来ないんだってば。
私も諦めようにため息をつく。だって、自分の気持ちに嘘つきたくない。
「私も…もうムリかな、生徒って理由で遠ざけるのは」
「じゃぁ…?」
悠の質問に笑って頷く。悠に満面の笑み。
「やったーッ!」
私を力強く抱き締めて、叫ぶ。
「コラ!静かにしてよっ」
保健室での小さな秘密。
これは許されないことだとわかってる。
だからこそ、私は。
小さく芽生えたこの恋を守っていこうと決めた―。