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空の下
【ファンタジー 恋愛小説】

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空の下4〜嫌いな天使-1

4章〜本物と偽者〜


「全く、カインさんも悪いです…いえ、私からすれば貴方が全部悪いです!」
ビシィッ!と効果音を付けたくなる様な勢いでサラはカインを指差した。
『い…いや…俺は何も言ってない…』
「…なるほど…見損ないまし…『ちょっと待て』
サラの声をカインが遮った。
そう、カインが遮った。
サラの目の前には頭に星を浮かべたカイン…。
後ろには重そうな荷物を背負い林檎の様な果物を持っているカイン…


カインが2人。


「なるほど…カインさん…」
『『なんだ』』
「どっちが、本物ですか?」
『『見りゃぁ分かる』』
さっぱり分からないサラ…目を凝らしても全くどっちがどっちか分からない。
「むむむ…わかんない…」
頭を抱えてしゃがみ込むサラ…傍らから見れば、兄弟を目の前にどちらが兄か弟かをあてている様だ。
「分からない…」
尻すぼみなサラの声がクレーターの広場に響いた。



『はぁ…』
一方そんな事になってるとは知らず一人溜め息を吐くエミリア。
頭の中は、カイン、カイン…怪我して無いか…サラちゃんと仲良くして無いか…。
そう考えると目尻が熱くなる。
『早く…早く戻らないと…』
そう呟いたエミリアは光球になって飛んで行った。


「う〜…」
未だ分からず唸るサラの目の前に生きる凶器は降って来た。

それは大剣。
風を切る音とともに回転しながらサラの目の前に…刺さった。
固まるサラを放って、剣は女性に変化し始めた。

『カイ…ン?』
一瞬戸惑ったエミリアは2人のカインを見比べた。

片方、荷物を担いだ方はエミリアが降って来て少しも驚いた様子は無く何事もなかったかの様に果物を投げてこう言った。
『なかなかいけるぞこの赤いの』

その果物を受け取ってもう片方のカインを見る。
一見何処も変わりない様だが…エミリアは不快感が沸いた。
つまり…
『カイン…あの方は誰ですか?』
『俺が知る分けないだろう…』
つまり荷物を持った方が本物。
『え…と…あの…その…』
戸惑う偽カイン。
『じゃあ…さっきの臭い台詞も…』
「エミリアさんを泣かせたのも?」
『なるほどな…』
3人の冷たい目線の先にいる偽、徐々に姿が現れて来た。


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