俺と俺様な彼女 〜11〜-1
来た、ついに来た。男を大きく二分割する日が。・・・そう、2月14日、バレンタインデーである。
一応俺にも彼女がいる。・・・自信を持っては言えないが。まぁ、とにかく彼女持ちなんだから普通ならば今日は楽しみな日であろう。でも先輩は普通とは言えない。先輩なら真顔で「今日?何かあったっけ?」と言ってもおかしくは無い。だから俺はこの日を期待と不安半々で迎えた。
〜なんすか、これ?〜
どきどき、どきどき
「机の中には・・・ないか。」まぁ、いい。これはまだ予想の範疇だ。先輩が早く来て入れるとも思えないし、このクラスに俺にチョコをくれるような女子はいない。・・・いや、一人いるか。
「おはよう。」
「よぉ、結衣。おはようさん。」
「はい、これ。」
「おっ、サンキュー。」
「一応手作りなんだから感謝しなさい。」
「つっても憲一の残りだろ?」
「まぁ、それはそうだけど。」
「冗談だよ、ありがとう。家帰ってゆっくり食うよ。」
「おはよう。」
「おはよう、憲一。」
「先輩からもらえたか?」
「…まだだ。」
「まあ、まだ朝だしね。」
「帰りにもらえるよ。」
「だといいんだがな。」
「その気持ちが痛いほどわかる俺も問題だな。」
「大丈夫よ。心配しなくても。」
「けど、保奈美先輩だよ?あの人なら今日をバレンタイン司教処刑の日として覚えてるかもしれんぞ。」
「否定してあげたいけどできないのがつらいわね。」
「その気持ちだけで十分だよ、結衣。」
やばい、マジで不安だ。
「飯食おうぜ〜、憲一。」
「その前にあっち。」
「ん?」 憲一の指の延長線上には八重ちゃんがいた。
「すまん、ちょっと行ってくる。」
「ごゆっくり。」
「あの、これ。あんまりうまくできなかったんですけど」
「あ、ううん。ありがとう、うれしいよ。」
「それと、これ憲一君の分なんだけど・・・」
「あ、ちょっと待ってね。お〜い、憲一〜。」
「何だ?」
「あの、これ憲一君のです。」
「マジで!?うわっ、ありがとう。俺にもくれるなんて思わなかった。」
「いえ、そんなことは。」
「あ、八重ちゃんも飯一緒にどう?」
「ごめんなさい、教室で友達が待っててくれてるんで。」
「あ、そっかそっか。じゃあまた今度ね。」
「はい、それじゃあ失礼します。」
「よかったな、憲一。」
「ああ。」
「さて、と。飯食うぞ。」
「あとは月宮先輩だな。」
「言うな。飯が食べれなくなる。」
「大丈夫だって。自信持てよ。案外昼休みに来るかもしれんぞ。」
「ああ。かもな。」
キーンコーンカーンコーン
「普通に来なかったな。」
「期待してないから大丈夫だ。」
「うそつけ、吐きそうな顔してるぞ。」
「まだ放課後がある。」
「今日も一緒に帰るんだろ?」
「ああ。」
「じゃあそん時にもらえるよ。」