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俺と俺様な彼女
【コメディ 恋愛小説】

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俺と俺様な彼女 〜10〜-4

「数馬。」
「ああ、先輩。テストお疲れ様でした。」
「お疲れ様。できた?」
「ばっちりです。」
「良かったわね。じゃあ行きましょうか?」
「どこにですか?」
「・・・忘れたの?」
「何を?」
がしっ
「早く思い出したほうがいいわよ。そうしないと脳みそが大変なことになるから。」
待て待て待て。なになに?なんかあったっけ?やばい、少しずつ力が入ってきてる。
「え〜と・・・」
「・・・」
みしみし
「ぐぉぉぉぉ」
やばいやばい、早く思い出さないと脳みそが外気にさらされる。え〜と・・・あっ!
「ぬいぐるみですか?」
「…命拾いしたわね。」
「あはは。」 あぶね〜、普通に忘れてた。
「じゃあ行きましょう。」


うっわ〜、ぬいぐるみのコーナーに入った瞬間先輩目輝いたよ。マジで好きなんだな。
「まあ、好きなの選んでください。」
できれば安いやつでお願いします。
「うん。」
うんだってよ。あの保奈美先輩が。なんとまぁ素直なことで。これから何かあったらぬいぐるみプレゼントしてごまかそう。
「え〜と。」
先輩がぬいぐるみを一生懸命探してる。俺の勉強見てるときよりも真剣なんじゃねーか?勘弁してくれよ、先輩。
「ねえ、どっちがいいと思う?」
先輩の手にはペンギンと何かのキャラクターのぬいぐるみ。正直どっちでもいいです、俺的には。
「ペンギンがいいんじゃないですか?」
「でも、こっちも可愛くない?」
「じゃあそっちで。」
「どっちよ。」
「どっちでもいいです。」
「両方は?」
「何でそうなるんですか!?」
「だめ?」
「だめです。」
「お願い。」
「くっ、わ、わかりましたよ。」
くそ、何で俺こんなに先輩に弱いんだろ。
「あは、ありがとう。」
…まあ、可愛いから許すとしよう。…うわ、やばい。この思考パターンはやばい。のちのちかなり不味いことになっていきそうだ。


帰り道、満面の笑みの先輩。けど向けられてるのは俺ではなくてぬいぐるみ。何でだよ!!ありえねえよ!!俺彼氏だよ!?
「先輩、満足ですか?」
「うん、とっても満足。」
「そうですか。」
恐るべしぬいぐるみパワー。先輩をここまで素直にさせるとは。
「数馬。」
「はい?」
「ありがとう。」
「!?」
すっげえ。先輩が礼言った。ぬいぐるみすげえな。俺もぬいぐるみになろっかな。・・・何言ってんだ俺、あほか。
「いえ、勉強教えてもらったお礼だからいいですよ。」
「それでも、ね。」
「また勉強教えてくれますか?」
「それは嫌。自分で何とかしなさい。」
「さいですか。」
どうやら持続効果は薄いみたいだな、ぬいぐるみ君よ。
俺はこれから先輩の部屋に飾られるであろうぬいぐるみ達を見ながらため息をついた。


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