=《蒼閃機甲バルトーク》= 〜第壱斬「蒼い巨像」〜-24
「って………い、痛いよお姉ちゃん。」
「あ、ご、ごめん。アハハ。舞い上がっちゃって。」
「翔太君もいるよ。大丈夫。」
「蒼真はっ!?」
「うん、大丈夫だった。」
ヘナヘナと崩れ落ちる美月。
一気に力が抜けた。
「こっち、みんないるから。」
「うん。」
ゆっくりと立ち上がり、美月は和美の後をついていく。
周防家の部屋の前。
「あ、姉貴。」
「翔太!怪我ない!?」
「大丈夫だよオレは!それより…………静かにした方がいいよ。」
「え………なんで?」
「こ・れ。」
翔太が指差す先…………
周防蒼真だ。
ドアに寄り掛かって座っている。
「お兄ちゃん、ここで寝てたんだ。」
和美が付け足した。
一歩ずつ、蒼真に近づく。
「(生きてた……………。)」
美月は、喜びであふれかえっていた。
自然と、涙が落ちる。
「………?」
蒼真の隣にピンク色の箱が置いてあった。
「これ…………。」
それを拾い上げる。
弁当箱。
朝、蒼真のために、作ってあげた。
だが、朝とは違う部分が一つ………。
上についているメモ。
そこに……………
"ごちそうさま、おいしかったよ"
美月は驚き、蒼真の顔を見た。
安らかな寝顔。
食べて…………くれたのだ…………。
こんな、時でも…………。
号泣しそうだったが、なんとか持ちこたえる。
かなり努力した。
蒼真の手前、プライドが、許さなかった。
ごまかすように、ガシガシと涙を拭き、そして、無理矢理笑って、美月は、言った。
「……………バカ。」
少し………蒼真の顔が………綻んだ、気がした。
=《To be continue………》=