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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜C
-7

「とどめだああ!
紅蓮 その赤き燈の業火 それを求むは我一人 故に 今こそ大地へと姿を現わし 我が敵を灰塵と成せ!
インフェルノエンド!!」
"ゴアアアーー"
「ギャーーー!」
ゼルンは炎の聖位呪文を使った、超巨大な火柱がウィン達だけではなくジェラルド軍も包み込み、消し飛ばす。
「ちとやりすぎちまったかあ」
爆煙が立ちこめる中ゼルンは頭を掻き毟る。
「レイジングアンドゥレイト!」
その時だった光の上位呪文がゼルンの胸を貫く。
血が吹き出る胸を押さえながら後ろを振り向くゼルン。
「な・・・に!?」
背後にいたのはルナとウィンの姿だった。
「貴様等、なぜ!?おまえ等ごときの魔力じゃ結界を張っても俺の聖位呪文を防げるはずは!」
聖位呪文を食らって立っている二人を見て唖然とするゼルン。
「そう、だから僕は結界を、ルナさんは治癒の聖位呪文を唱えた。」
「!!」
「僕が二人分の結界を作り、結界で呪文の威力を抑え、ルナさんが治癒の聖位呪文ヒーリングフォースでダメージを受けると同時に回復し続けた。」
作戦が成功し不敵な笑みを浮かべるウィン。
「貴様等!遊びは終わりだ!殺してやる!!」

「そうだ、私は人の心を読むことができる」
「んだと!?」
「何を動揺している?」
「黙れ!」
「ほう、どうやら信じてくれたようだな」
フェルディナンに心を見透かされていることにヴェイルは気付いていた。
(なぜ、こいつはこんな力が!?)
「なぜ?私にとっては必然だ
私は幼少の頃から父に命を狙われていた、実の父では無かった。血の繋がらない私を邪魔に思っていた父はいつも私に殺意を持った目で見ていた。
いつ殺されるか分からぬ恐怖。眠れない日が続き私の精神状態は極限に達していた。
そして遂に母が病気で死に、私と父の二人だけになった。奴にとっては私は邪魔以外の何者でも無くなっただろう、恐怖を通り越し自分が自分では無くなる感覚、すると声が聞こえてきた。
《「明日だ、明日殺る。食事にこの薬物を投入すれば一発だろ」》
私はこの声を聞き吹っ切れた。自らの手で父を殺したのだ。
それからだ、人の心の声が手に取るように分かる。
自分を虐げようとする声も、自分を裏切ろうとする声も。そしてそんな声が飛びかう中私は自分だけを信じて生きてきた。
他人を信じきってぬくぬくと生きてきたおまえ達には到底達することはできない境地だ。」
フェルディナンは再び大鎌を振りかぶる
「ハアアアア!!」
"ザン"
フェルディナンの斬撃がヴェイルの足を捉えた。
ヴェイルはガクっと膝を付く。
ヴェイル達から離れた場所で巨大な火柱が立ち昇る。
「あれはゼルンの聖位呪文、あっちの仲間もどうやら死んだようだ。なら淋しくないな」
フェルディナンは微笑する。
「う・・るせえ、あいつらは死なねえよ。そして俺もなあ」
双剣を地面に刺して立ち上がるヴェイル。
しかし体に異変を感じ再び地面に膝を付ける。
「このアヌビス(大鎌)には斬られた者の体を幻惑させる力がある。さあ終わりにしよう」
片膝を付けるヴェイルにフェルディナンは大鎌を振り下ろした。
「くっ」
ヴェイルは力を振り絞りそれを躱す
「!!」
しかし鎌の軌道がヴェイルの避けた方向に変化した。
"ザシュッ"
そしてヴェイルの胸を貫いた。
「が・・・は」
胸から血を吹き出しながら鎌の刃を掴む。だがその両手に力は入っていなかった。
"ズリュ"
フェルディナンがヴェイルの胸から刃を引き抜くと更に血が吹き出した。
それと同時に完全に地に倒れこむヴェイル。


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