Cross Destiny
〜神竜の牙〜C-27
「馬鹿な!!動けなくなるどころかまだこれほどの力を!」
再び絶望するアルス達。
「くっくっく、どうやらあの力は使えないようだな。」
神竜は高らかに笑う。
「お願い、力を貸して」
その時ルナが名もなき封印の神子に叫びかけた。
しかし無表情のまま立ち尽くす名もなき封印の神子。
「このままじゃ、自然も動物も、優しい人たちもみんな死んでしまう。お願い一緒に守って」
その叫びに名もなき封印の神子が反応した。
ルナと対局の位置に立ち、光を放つ。
神竜は更に光に包まれた。
「ぐっっっ!」
神竜は二重の、封印の光を浴び、大分弱った声で呻き声を上げた。
「こ、これなら」
アルス達は再び突撃する。
"ギィン"
金属音のような音と共に神竜に小さな傷が付いた。
「よし、これなら戦える」
アルスは拳を握り締めた。
そしてもう一度突攻を試みる三人。ウィンも氷の呪文で援護する。
"グオーーー!"
しかし神竜の放つ衝撃派に吹き飛ばされてしまった。
「ぐ・・・お、封印の神子二人がかりで力を封じて、これかよ」
衝撃派を受けて倒れこみながらヴェイルは嘆いた。
「当然だ、世界を滅ぼす程の力を持ってるんだ。あの二人がいなかったらとっくに消し炭だ」
「くそ、俺たちだけじゃ歯が立たねえ、お前等も戦ってくれ、これが最後の戦いなんだ!!」
ジェラルド兵に叫びかけるヴェイル。
「よし、全軍突撃」
神竜への攻撃を指示するデュセルとフィオ。
しかし兵士達は微動だにしない。
「な、なにをしてるお前達!?」
兵士達の異変に動揺するデュセル。
「じ、冗談じゃない。あんな化け物と戦えるわけ・・・」
案の定、神竜の姿を目のあたりにして戦意を保てる者などそういなかった。
「くっ、仕方ない俺たちだけでも奴を止めるんだ」
そして何度も攻撃を仕掛けるアルス達、しかしその度吹き飛ばされてしまう。
「あなた達!あれを見ても何も思わないの!?」
アシェルが兵士達に怒声を飛ばした。
「あなた達が怯えて向かってくことすらできない化け物にたった6人で立ち向かってるのよ。あの二人の女の子なんて自分の命を削ってあの神竜の力を封じてるのよ!!」
アシェルの言葉に少しずつ心を動かされるものが現われた。
「あの神竜を蘇えらせたのは私達ホーリー、勝手なことを言ってるのは分かってる。けど神竜を倒さなきゃすべてが終わりなのよ!!お願い力を貸して!あなた達のためにも、あなた達の大切な人達のためにも!!」
"ざわざわ"
「俺は行くよ」
「ここで逃げても結局死ぬなら花咲かせてやる」
「行くぜ!」
その言葉に後押しされ、一人また一人と神竜に立ち向かっていく。
ジェラルドだけじゃなくシーラ兵も、いやそれだけじゃない。その中には連合軍も混ざっていた。
「うおー!」
次第に勢いが増し、神竜の衝撃派やエネルギー派に消し飛ばされながらも怯まずに次々と神竜に向かっていく。
「ぐっ本来の力さえ出せれば」
神竜は封印の神子を睨みつけた。
そして巨大な足をルナに振り下ろす。
"ズガーーーン"
大地が揺れた。
しかしルナは傷一つ負ってはいなかった。
ジェラルドとシーラの魔導部隊がルナと名もなき封印の神子に結界を張っていたのだ
「この糞共がーー!」
怒りを爆発させた目で見下ろす神竜。
その時、神竜に向かって一斉に矢を放つジェラルド軍。
"ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン"
何千もの矢が神竜に突き刺さる。
「射てーーー!」
アシェルの指示で連合軍も銃を一斉射撃する。