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Cross Destiny
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Cross Destiny
〜神竜の牙〜C
-13

「何が正しくて何が悪いなんてこの世には無いのかもしれない。だからおまえはおまえの道を行けばいい。俺は自分の道を行く。俺の道を塞ぐものは排除するまでだ。例えお前であっても」
「くっ」
「アルス!兵力を削られすぎた態勢を建て直すために一時撤退する」
デュセルがアルスに向かって叫ぶ、そしてジェラルド軍は撤退を始めた。
「しかし」
アルスは撤退するのを渋る
「このガタガタの状態のまま戦っても帰り討ちだ!」
「くそ!」
その言葉を聞いてアルスもその場から去る。様々な思いを胸に
そしてフォルツはそれをいつまでも見つめていた》

「アルス」
アルスが空を見上げていると背後から女性の声がした。
振り替えるとそこにはルナが立っていた。
「隣いいですか?」
「ああ」
アルスが返事をするとルナはゆっくりとアルスの隣に座った。
しばらく沈黙が続いている。
「・・・あの」
それを破ろうとルナなんとか話し掛けた。
「ん?」
「フォルツのこと・・・」
「・・・」
再び沈黙が続く。
「みんなフォルツが変わってしまったって言ってた。本性を出したや、狂ってしまったとも。でも私はそうは思いません。あの人は何も変わっていない。誰よりも優しくて他人の痛みを自分の痛みのように思っていたあの頃のまま
私は付き合いは長くはありませんが解ります。
でも優しすぎるからこそあの道を選んでしまったんだと。」
「わかっているさ、わかっていた。
でもわからないんだ・・・俺がこのまま戦ってジェラルドが勝利してもあいつの言う通り悲劇はいつまでも繰り返されるだけなのか
フォルツがやろうとしてることが本当は正しいことなのか
俺は・・・」
アルスはそう言うと両手で頭をふさぎ込んでしまった。
「私は!」
そんなアルスを見てルナが突然励ますように大きな声を出した。
「私はずっと独りでした、小さな部屋で誰とも接せず。笑ったことも一度もありませんでした。
でもあなた達と出会って笑うってことを、幸せに思うということを知りました。
だからもしフォルツのやろうとしてることが正しいことだとしても私は止めたい。例え間違ってることだとしても私は、失われるかもしれない目の前の笑顔を守りたい。」
そう言いながらルナはハッとした。
「ごめんなさい!私には何も出来ないのに偉そうなことを言ってしまって」
しかしアルスの顔には笑顔が浮かんでいた。
「ありがとうルナ」
「え?」
「俺は迷っていた、自分が間違ってる道を進んでいるのと悩んでいた。
でも結局は自分の道を信じるしか無いんだよな。
俺は信じてみる、自分を、自分の道を。例えあいつと戦うことになっても」
「アルス」
「とっととこの戦いを終わらそう」
それを聞いてルナはにっこりと微笑んだ。
「はい」


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