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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜C
-14

ホーリー城王座の間
フォルツは天井を見上げて考え事をしていた。
あの時のことを、ヒーティアでアシェルと遭遇した時のことを
《「あなたはあれを見ても同じことが言えるの!!」
アシェルの叫びを聞きフォルツはアシェルの後を付いていく。戦闘中の仲間のことが気になったが今はそれ以上にアシェルの言っていることが気になった。
戦闘の結果も解らぬまま一日程かけてある小さな村に着いた。
「ここは?」
アシェルに尋ねるフォルツ。
「ここはヒーティアの村の一つルーシェン村です」
フォルツは訳の解らないまま村に入った。
するとある異変に気付いた。
皮と骨だけかのように痩せ細った親子。片足のない女の子、腕のない老人。
そして村にはいくつもの墓が立っていた。
「これは!?」
「これが現実の村です。」
「?」
まだ訳が解らないフォルツ。
「軍事費に資金を殆ど使われているヒーティアではこのように貧しい村が殆どです、更に戦争に巻き込まれて傷つく者が後を絶たない。」
「・・・」
「ヒーティアだけじゃない、ホーリーでもシーラでもリィズでもこういった人達が増え続けている。
ジェラルドを除いた全ての国の人々がこうやって地獄を味わっているのです」
「そんな」
「アルベル様が訪れたことのある村々ではここまでひどくは無かったはずです。でも戦争が無くならない限り現実にこういった村は増え続けるでしょう。」
「・・・だからって・・・魔物を作り出しておいて、更に神竜まで蘇らせるってのかよ!」
腕を振るって叫ぶフォルツ。
「ホーリーが主導者になるためです。神竜の力を所持する国が主導権を握ればどの国も戦いを挑んではこない。更にその国が世界を監視すれば確実に戦争を無くすことができる。そうなればもう誰も苦しまなくて済む」
「・・・」
「私の父も母も戦争で死にました、そして私も。」
そう言うとアシェルは右手で左手を掴み、捻った。すると"カチ"っと音がした。そしてなんと左手が外れたのだ。
「それは義手か!?」
「みんな無くしました、家族も左手も大切なもの全部。私はもうそんな苦しみをもつ人をこれ以上増やしたくない。だから戦います。だからアルベル様も力を貸してください、あなたの力が必要なのです」
「・・・」
親も無く、独りきりで苦しく辛かった日々を思い出すフォルツ
(アルス・・・俺は)》


「どうかなされましたかアルベル様?」
物思いにふけるフォルツに心配そうに尋ねるアシェル。
「なんでもない、それより神竜の様子はどうだ?」
「どうやら、もういつ目覚めてもおかしくない状態だそうです。ただ詳しい日時までは」
「そうか、封印の神子の準備は?」
「万全です」
「そうか」
(あとはジェラルドの進撃を食い止めるだけだな)
二度目の進撃当日

「兵力はだいたい整った、次こそは敵の守備を突破する」
進撃失敗から三日目
体勢を立て直したジェラルド軍が遂に進撃を開始する。
「神竜はもういつ復活してもおかしくない。一刻の猶予も許されない」
デュセルが緊迫した表情で言う。
「お前達に作戦を言っておきたい、いいか?」
そしてアルス達に作戦を伝える。


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