『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-198
ぱちぃん! ぱちぃん!! ぱちぃん!!!
「あひっ! ひんっ! あぁあぁぁんっ!」
その声に促されるようにスパンキングは更に強くなり、間もなく桜子の尻たぶは、真っ赤な手形でいっぱいになった。
(こ、こんなのが……きもち、いいなんて……! あ、あたし……!)
尻を叩かれるのが、たまらなくいい。 平手を受けるたびに背筋を走るものは、瞬間的な痛みと痺れるような背徳感が複雑に絡み合った、これまで味わったことのない別種の快楽であった。
「もっと……! もっと、あなたの、いいようにして……ッッ!!」
これから自分が、大和の手によってどんな色に染め上げられていくのか…。
「イクっ! イッちゃう!! あんっ、あんっ、ああぁぁぁぁぁぁ!!!」
期待を膨らませながら桜子は、隣の由梨にも負けないぐらいの嬌声を迸らせ、時折お尻を叩かれて、熱く熟れた胎内を激しく貫かれながら、何度も何度も昇天したのであった…。
大和と桜子が、その絆を更に深めた夏期休暇…。それも、終盤を迎えた。
休みの間にはあまり考えなかったリーグ戦のことが、強く頭をよぎるようになる頃であり、試合を前提にした調整がこれからは必要になってくる。
隼リーグの二部に所属するチームが、一部への入れ替え戦に挑戦するためには、9月の第2週から始まる“決勝トーナメント”を制することが唯一無二の条件である。そして、そのトーナメントに参加する8チームは、前期に行われたブロック戦を勝ち上がってきた強豪ばかりだ。
双葉大学の夏期休暇は、補講を除けば9月の半ばまである。おそらく、他の大学も似たようなものであろう。押並べて、大学の夏期休暇は8月から本格的に始まる分、場所によっては9月の末まで時間を取るほど長いものもある。
スケジュールを上手く組み、効率的に練習をこなしても、試合をしなければ実戦の勘はどうしても鈍る。それを防ぐために、週末を利用して何度か練習試合をこなしていたのだが、8月の最終日に重なったこの土曜日にも、監督のエレナは練習試合を組んでいた。
話によると、今度の相手は“SPECIAL”らしい。対戦相手について話が及ぶと、
『SECRETです。そのほうが、ドキドキするでしょう?』
エレナ・ウィンクを炸裂させながら彼女はそう言ったのだが、どちらかというとその仕草の方にドキドキさせられたものである。例によって、鼻の下を伸ばした雄太には品子のきつい折檻が待っていた。
…それは、さておき。
エレナの言うように、対戦相手については当日になっても全く知らされなかった。
「多分、さ……」
そういうこともあって、“相手は何処か?”という話が盛り上がったりもした。各員の憶測では、春先に相手になった小学生のチームが“本命”である。
「いや、それじゃ“すぺしゃる”にならないんじゃないの?」
その指摘は、至極最も。そこから、侃侃諤諤の討論会は始まった。
「ウチらの大学と一番近いのは、関八大(関八州大学)だろ。そこじゃねえか?」
「いやいや。監督って、1部リーグにいる城二大のOGらしいから、ツテを頼って、試合組んでもらったんじゃないかな?」
「いつものように、近場の草野球チームに頼んだんだと思うけどな。“SPECIAL”って言ったの、僕等に緊張感を持たせるためとか?」
基本的なアップを済ませた後も、話は収まらない。
(………)
そんな具合に、練習試合の相手を待ちながら輪になっている面々の中で、桜子だけは余裕のある顔つきをしていた。
(実はあたし、知ってるんだよね……)
今日の対戦相手について、彼女にはある確信があった。
「GOOD MORNIN’! お待たせしました」
やがてユニフォーム姿のエレナが、グラウンドに姿を現した。今日の練習試合の相手を、出迎えに行っていた先からの登場である。