『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-188
くにくにっ… くにっ、くにっ……
「んんんっ! んっ、んぅっ!!」
そのポッチが、大和の指によって愛玩された。胸の張りを狭窄する、神経の集合体といってよいそれは、限りなく敏感なものになっている。それを責められているのだから、桜子の身悶えは、更に激しいものになった。
じゅわぁ…
「んんっ……!!」
乳首を起点とする電流が、怒涛の勢いを得て桜子の深奥を貫く。それが身体中に伝播して、太股の内側にも熱を運び、蜜の迸りに変化した。
(どうしよう……でも……どうにもならないよぉ……!)
“反射”という己の意志を介在しない、一連の反応。人の意思では、それを留めることなど不可能である。桜子はただ、大和の愛撫をその身に受けながら、身体の中で起こる官能の燃焼に身を委ねていた。
「あ、はぁぅ……んっ、んぅっ……!」
寄せて、離して、寄せて、離して…。
揉んで、摘んで、揉んで、摘んで…。
「んくっ……! ん、んんっ……! うふっ……くぅっ……!」
乳房と乳首を思うままに嬲られ、その意識は白濁した世界の中心を漂っている。愛欲にまみれたその叫びは、くわえた指によって確かな音を得ることもなく、喉の奥でこもった吐息に変化していた。
(も……だめ……!)
張り詰めたものが、何かの拍子で弾けそうになる。それをコントロールするための理性は、そのほとんどが失われている。
(あたし……う、牛さん、みたい……)
胸と乳首に愛撫を浴びながら、小さい頃に体験したことのある“牛の乳絞り”を桜子は思い出していた。たわわに実った乳の房をぐいぐいと絞られ、恍惚としていた乳牛の瞳を…。
(や、やだ……なにか……出てきそう……!)
経験はないが、乳首に集まる刺激はそれを思わせる感覚だ。あの牝牛も、それ、を味わっていたに違いない。ミルクが出てくるはずもないが、状況としては間違いなく、“乳を搾られている”のだ。
「くっ……うっ……! んっ……んんっ……!!」
ミルクの変わりに溢れてくるのは、悦楽の声である。必死に指を咥えて、桜子はその漏出を抑える。指を離してしまえば、階下に届くほどの“大きな声”が出てしまうことを彼女は自覚していた。
「ひぅっ……ひっ……んひっ……!」
しかし、“喘ぎ”を抑制することは、体の中にその悦楽を充満させることに繋がる。受け流すことができず、体の中で滞留を繰り返せば、いつかそれは破裂してしまうだろう。際限なく空気を入れ続けた風船が、破裂してしまうように…。
「!!!」
もちろん、限界値を越えて快楽を詰め込まれたからといって、風船のように乳房が弾けてしまうことなどない。そんなことになったらあまりにもスプラッタが過ぎる。
弾けるのは肉体ではなく、精神の方だ。
「は、はめっ……! も……はめっ……!」
「? ……なにが、“だめ”なんだい」
「い……いひわる……!」
指を折り曲げ、深くまで咥えているから呂律がいささかおかしい。特に、歯茎の裏地と舌の接面を必要とする“濁音”は、指を咥えることで舌が奥に引っ込んでいるために、正確な言葉にはならず、“ハ行”の音に変じてしまうのだ。
「ひ、ひふっ! も……ひっひゃうよ……!」
従って、意識の破裂を間近にしている桜子の言葉は、その明瞭さを欠いていた。ちなみに彼女は今、
『イ、イクッ! も……イッちゃうよ……!』
と、言ったのである。
「ん、んふっ……! んぅぅっ……!!」
言葉の代わりとばかりに、桜子の身体がこれまでにない震えを起こした。体の軸が溶けてしまったかのように、彼女の身体がぐねぐねとうねる。
「ふふ……すごいね……」
その動きを抑えるために、大和は揉んでいた胸を揉む指先に力を込めた。
「ひ、んぅっ!! ……も、もうはめっ……!」
「いいよ……。我慢しないで、いいから……」
言葉が要領を得ずとも、彼女が限界を越えようとしていることは、その反応だけで充分にわかっている。