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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-154

 ちゅっ、ちゅうっ、ちゅううぅぅぅ……

「む、むぅっ……」
 唇を強く吸われ、呼吸を奪われて、かすかに身じろぎする幸次郎。それを許さないように、掴まえている腕を更に強くする京子。
「んんっ、んちゅっ……んふっ、んんっ……」
 そんな綱引きにも似た戯れの中で、深く重なっている唇の間を行き来する互いの舌先が、濃厚な絡み合いを始めていた。

 ちゅるっ、ぬるりっ、ぬるっ……

 触れている柔らかさを味わうように舌を蠢かす。絡み、重なり、舐めあう中で、口内にいつのまにか一杯になってきた唾液もまた、繋がりあっている“道”を通って注ぎ込まれる。
「ん、ぷっ……んく、んく……」
 何度も何度も、京子の喉が鳴っていた。流れ込んできた夫の唾液を、躊躇いもなく嚥下しているのだ。彼が与えてくれるものは、何でも享受したいから…。

 ぬるりっ……

「ん、んっ!」
 流れ込んでくる唾液の波に乗るようにして、圧力が口内一杯に広がった。本格的な侵入を、幸次郎が試みてきたのだ。
「ん、んぅ……ん、んっ……」
 舌全体を絡め取るようにしてうねったかと思うと、歯茎の裏や頬の裏側を丁寧に舐められ、口中に愛撫を受ける。異物を確認した京子の唾液腺も激しい反応を見せ始め、注ぎ込まれるものとあわせ、唇の端から糸を引いて零れるほどに水浸しになっていた。
「んっ、あっ……はぁ……」
 幸次郎の舌が一通りの蹂躙を終えると、京子の口から離れていった。名残惜しそうに、舌先で最後まで追いかけていったが、それは叶わずに、夫と間にかすかな空間ができる。
「もっと……もっと、キスしてよ……あたい、ぜんぜん足りないよ………」
 銀糸で煌く唇が、艶かしくも揺れていた。
 普段は勝気な妻の従順で愛らしい願いを訊いて、それを突っぱねることなど出来ようか。
(自信を持って言おう。出来ない!)
 ...ですよね。
「んっ……んんっ……」
 むしゃぶりつくように、再び接合した唇と唇。性愛の行為の中で、実は最も愛情に溢れているといっていい“接吻”は、確かな想いで二人を繋いで、熱く熱く昂ぶらせていった。

 ちゅるっ、ちゅるっ、ちゅうぅぅぅぅ……

 再び絡まる舌が、今度は京子の中に吸い込まれていく。針で釣られた魚の気持ちが少しだけわかった幸次郎であった。
(息が……で、できん)
 鼻を使え、鼻を。
(量が足りんのだ。鼻呼吸だけでは、追いつかん!)
 それだけ彼が興奮しているということだ。身体中を健気に駆け巡るヘモグロビンが、足りない酸素を求めて悲鳴をあげている。
 朦朧とする意識は、興奮もあいまって彼をいろいろなものに対して貪欲にしていった。
「ん、んぷっ!」
 不意に、京子の体が激しくよじれた。キスに熱中するあまり無防備だった太股に、彼の大きな手による愛撫を受けたからだ。
 京子は動きやすいジーンズを好んでいるので、もちろんそれを今も着用している。しかし、そんな厚手の生地さえ浸透してきた手の平の熱さが、触れられるたびに肌を燃やし、京子の中にある快楽の段階を、三段抜きで高めていった。


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