『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-14
「由梨、胎内(なか)がほしがっとるで……」
「そ、それはっ……あ、あ、ああぁぁぁ!!」
ぐちゅ、ぐちゅるっ、ぐちゃぐちゃぐちゃ!
「ひあぁぁあぁ!!」
与えられていた余裕は、更に激しい龍介の腰使いによって奪い取られた。
二人は今、正常位で抱き合いながら繋がっている。由梨が龍介の胸の下に組み敷かれた状態となり、脚を開いてその間に龍介の腰周りを抱えていると説明すれば、その情事の様は皆さまにも浮かぶであろうか。
「ん、んぐぅ!」
由梨と所帯を持って以降、もともと横に大きい方だった龍介は、“幸せ太り”によりさらにその下腹に肉がついた。その部分の重量がすべて“第三の脚”に集中し、柔らかい由梨の性器に圧し掛かって深々と貫いているのだから、その密着度は計り知れない。
「あ、ふ、深い……ああぁぁあぁぁ!!」
胎内の深奥まで愛する夫の肉体が埋没し、由梨は快楽に喉を反らした。股間に覆い被さってくる圧迫感が、たまらなくいい。
「う、く……し、締まる……すごいのぅ……」
陰茎の根元が、食いつくように締まりを見せた。その締まりの中で、敏感になった自己をさらに慰撫するように、龍介は肉のついた下腹からは想像もつかないほどに鋭い動きで、由梨の膣を貫く。
ぷぴゅっ、ぷちゅるっ、ぷぴゅぅぅ…
「あっ、あっ、い、いやぁ!」
瞬間、リコーダーを吹いている最中に茶々を入れられ、吹きだしてしまったときに発する奇妙な音が、互いの潤滑油に滑る接合部から響いた。
「だ、だめ……だめぇっ……」
その途端、由梨の頬が快楽以外の色合いで染まり、ひどい羞恥を感じたように両手で顔を覆ってしまう。
ぷぴゅるっ、ぴゅっ、ぷぴゅっ、ぷぴゅっ…
「い、いやです、恥ずかしい!」
龍介のピストンに合わせて鳴る奇妙な音。それを自分の意思ではどうにもならないらしく、音が響くたびに恥じらいに声を震わせて、由梨は身悶えた。
「心配いらん。可愛い音やないか……」
「い、言わないでッ! いやぁ!」
その現象について、間近で何度も体感してきた龍介は全てを理解している。
「気持ちいいんやな? ワイも、嬉しいで……」
「で、でも……ん、んむっ……」
龍介は恥じらいばかりを口にする妻の唇を吸い取って、言葉を奪った。
(ほんま、たまらん……)
膣から音が漏れるという現象は、由梨の快感が高い部分にまで届いた証でもある。
由梨の性器は、入り口が狭く中がとても広い。だから、彼女の胎内に挿入したとき、根元をきつく締め上げられる感触と、亀頭部分を柔らかく慰撫されるものと、相反する感覚を同時に得られるのだ。そして、“音が出る”というのは、彼女の快楽が頂知らずで駆け登り、広い膣内が微弱な震えを起こして、その震動が中の空気圧を微妙に変化させ、膣口を震わせることがその原因になっているのだろう。
ぷぴっ、ぷぴっ、ぷぴゅるる……
出所が、後ろの穴ではないというだけで、傍から聞けばそれは“放屁”そのものである。
(あ、ああ、由梨、ほんま、すごいで……)
埋め込んだ己の肉剣を刺激するように、由梨の膣から漏れる音の響きが、龍介にとてつもない悦びを与えていた。“音”というものは、少なからず震えを生むものだ。従って、由梨の膣から漏れ出てくる奇妙な音をまともに浴びている龍介の陰茎部は、中のうねりだけでない、他の存在では味わいようのない刺激を受けていることになる。
ぷぴゅっ、ぴゅちゅっ、ぷぴゅるる!!
「ん、んむっ、んんっ……」
由梨はその音が出ると羞恥に咽ぶ。下半身から響く“音”に対し、強い恥じらいを抱くのは乙女として当然であろう。本当の放屁、空腹時の腹の虫、腹を下したときの腸鳴りなど、それらはあまり好いイメージをくれるものではない。
「むうっ、ん……ん、んんっ、んむっ……」
しかし、龍介に唇を吸われ、突き上げを受けるうちに脳内が劣情に霞んで、そういった羞恥もいつしか忘れて由梨は行為を愉しむようになっていた。