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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-130

「それではみなさん! LET’S ENJOY!」
 本日は晴天なり。新チームの初試合を飾るにはうってつけの天気で、指導者として初めて野球に臨むエレナの興奮を煽っていた。
 電光掲示板は当然ないので、オーダー表も得点経過も、協議会が用意した特別なホワイトボードに手書きで書き記されていく。
 双葉大学は、先攻めであった。

 【双葉大学】

1番:岡 崎(遊撃手)
2番:栄 村(中堅手)
3番:屋久杉(投 手)
4番:草 薙(三塁手)
5番:蓬 莱(捕 手)
6番:若 狭(一塁手)
7番: 浦 (左翼手)
8番:本 間(右翼手)
9番:吉 川(二塁手)


 このオーダーは、先の練習試合から普段の練習を見ていく中で、監督であるエレナが雄太らとともに考え、選び、判断し、決めていったものだ。その並びを見ると、昨季に比べかなり変化している。
 中でも特筆すべき点は、不動の3番打者であった岡崎が1番に廻ったことだろう。
 エレナ曰く、
『オカザキさんは、AGRESSIVEなバッティングをします。とっても賢いですし、脚も速いですから、1番を任せるにはこれ以上ないお方ですよ』
 と、いうことだ。
 普段は慎重で篤実さが目立つ岡崎だが、意外に試合の中では積極的なバッティングをする。早いカウントで勝負を仕掛け、ノースリーのボールカウントでも、平気で次の球を狙って強振することなどが主な例である。
 エレナが言った、アグレッシブなバッティングスタイルは、その勢いで攻撃の切り口を見出すチャンスメーカーに必要となってくる要素であり、また、数多く打席の回る打順であると言うことはそれだけ多くの情報に触れることにもなるわけで、状況判断に優れた彼の野球勘を生かすにはまたとない位置でもあった。
 そんな岡崎の特性をわずかな期間の中で見抜いたのであるから、エレナはやはり指導者として良質なものを持っている。
(俺も、1番の方が性に合う)
 そしてなにより、岡崎自身がこの1番という打順に愛着を持っていた。
 チームの誰より先んじて打席に入ると言うことは、それだけ未知のものと対決していかなければならないことにもなる。しかも、始まってすぐの試合というものは、色々な流れが定まっていない、いわば混沌の渦の中にあるのと等しい。
 そういう不可知の渦に真っ先に飛び込んで、活路をつくりだす。それが、1番打者に与えられた使命であり、役割でもあるのだ。未知に相対する緊張感にも怯まない胆力の持ち主である岡崎は、その時点で既に1番打者の適正が高い。
「プレイボール!」
 審判の声が高く響いて、関八州大学の投手が第一球目を投じた瞬間、

 キン!

 岡崎のためらいのないスイングが、ほとんど真ん中に入ってきた直球を捕らえて、センター前に弾き飛ばしていた。
「GOOD JOB!」
 ぱちぱちぱちぱち、とエレナの拍手に続くように、双葉大のベンチが沸く。早速、エレナの言う“アグレッシブな打撃”を見せた岡崎であった。
 2番は、栄村である。これまでは、チームで一番の俊足であることから1番を打っていた。
「ボール!」
「ボール!」
「ストライク!」
 栄村は、初球を果敢に打ち放った岡崎とは対照的に、慎重にボールを選んでいる。


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