『SWING UP!!』(第1話〜第6話)-127
「大和くん、大和くん……」
大和の前後運動に突かれ、腰が何度もグラインドをして、胸を震わせながら桜子は大和の名を呼ぶ。
「すぐに……すぐに、終わるから……」
性急にも思える彼の腰使いは、ひょっとしたら自分のことを慮っているからだろうか。
「大丈夫……大丈夫だよ……」
痛みは残っているが、次第にそれが痺れるような感覚に変化しているのも確かだ。姉の由梨が言っていたように、自慰を繰り返すことによって性の感度が高まっていたのだろうか。想像していたよりは、痛みの度合いが少ない気もする桜子であった。
「は、あぁっ……や、大和……大和、くん……」
いつしか、大和の激しい突き上げにも耐えられるぐらいに桜子は昂ぶっていた。粘膜を擦られる時に走った痛みは、もう消え去っている。
「もうすぐ……もうすぐだ……」
「う、うん……あ、あっ、あ、あんっ!」
気がつけば、脚が大きく開かれて、深いところまで彼を導こうとしていた。大鷲の翼のように、その長い脚が大きく広がっている。
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ……
「くっ、くっ……す、すごいよ……桜子、桜子っ……」
大和の息も荒くなってきた。
(感じて……もっと、感じて……)
自分の胎内を、感じてくれていることに深い満足を桜子は覚える。
(あそこが、いっぱい……ヌルヌルしてるっ……)
大和の固いものが激しく出入りしている部分は、防衛本能も交えた潤滑液によって潤いを保っている。その中には、かすかに紅いものも混ざっているが、それこそが桜子の操の証であろう。
「も、もう……桜子ッ!」
びくっ、と胎内で前後していた大和の固さが、更に大きくなった瞬間。
「ん、んんっ!」
ずるっ!
と、粘膜が裏返るようにして固いものが抜けていったかと思うと…
「く、あっ……」
びゅるっ、びゅるっ、びゅる、びゅる、びゅるっ!
朦朧としている桜子の視線の先に顔を出した大和の亀頭から、白い噴水が迸り出た。一度だけではなく、何度も何度も噴きあがるように、何度も…。
(すごい……飛び出すみたいにして………いっぱい……)
その瞬間をしっかりと目に焼き付けながら、お腹の上で幾筋もの白い道ができてゆくのを桜子は冷静に眺めていた。
「大和くん、焦ってなかった?」
初めての性交を終えた二人は、とりあえず服を着て、重なり合うようにして布団の中に戻っていた。当然だが、気持ちも身体も繋がった今は、別々に寝ようなどとは露にも考えていない。
「あたしが痛がってるって、気づかってくれたの?」
繋がってからの大和には、何処となく余裕がない気がした。胎内に彼を迎え入れてから、あっという間に事が終わってしまった気がする。
これで自分は“女”になったわけで、大和も優しくしてくれたから、これ以上ないほどに満足しているが、ようやく味わえた性の果実に濃密な味わいを期待していた桜子は、その“あっさり風味”になんとなく拍子抜けしたものも感じていた。
「僕にはわからないことだから。やっぱり、その……痛いんだろ?」
破瓜の痛みを労わるように、大和が髪を、優しく撫でてくれている。まるで梳られる髪の一本一本に愛しさを伝えてくれるようで、撫でられるたびに桜子は胸がいっぱいになった。
「思うほど、痛くはなかったよ。それに、すぐに気持ちよくなっちゃった」
「そ、そう……」
なんだか余裕のある感じの桜子に、大和は手前勝手に焦りすぎた自分を思って恥ずかしさが込み上げてきた。また、そういうことならゆっくりと桜子を愛してあげるのだったと、かすかな悔いも生まれていた。