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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜B
-4

2日後、アルス達は着実に目的地へと近づいていた。
無休で足を進めていたためさすがに三人は疲れた顔をしていた。
「少し休んだ方がいいんじゃないのか?」
アルスがそう言うとフォルツが黙って二度ほど頷いた。
しかしヴェイルは耳を貸さずに馬を走らせる。
「おいヴェイル、聞いてるのか?」
「うるせえ!休んでる暇なんざねえんだよ!!」
そのヴェイルの迫力にさすがのアルスも何も言えなかった。
「どうしちゃったんだヴェイルのやつ?」
「さあな」

しかしそれから数時間後、馬の方が限界を迎えてしまった。
"ヒヒーン"
と悲鳴のような声を上げてフォルツの馬が歩き出してしまった。
「ちいっ!この軟弱駄馬が!まるで乗ってるやつみたいだな!!」
「なんだあ!?」
フォルツは、フォルツに合わせて隣で馬を歩かせるヴェイルに掴みかかる。
「よせこんなとこで。
それよりどこかで休もう。もう馬も俺達も疲労してる。」
アルスの仲介でフォルツもヴェイルも気持ちを落ち着かせた。
アルスはどこか休憩できそうな場所はないかと辺りを見回した。
しかし、そこは荒野、そんな場所はあるはずもなかった。
しかし地面に足を下ろすだけでも違うだろうとアルス達は馬を止めようとした。
「ん?あれは!」
するとフォルツが荒野の遥か向こうにある建物が微かに見えることに気付いた。
「あんな所に建物が!」
「マジだ。」
「よし行ってみよう。」
三人は足を急がせた。
するとその建物は教会だった。
「なぜこんな所に教会が?」
三人は荒野の真ん中にそびえ立つ教会を不思議に思う。
「おや?あなた達は?」
すると中から若い神父風の男が出てきた。
「ここは教会か?」
「ええ半分正解です。ここは教会兼孤児院ですよ 」
神父風の優男はにっこりと笑顔で答えた。
「悪いけどここで少し休ませてもらってもいいかな?」
「構いませんよ。」
神父はヴェイルの申し出に嫌そうな顔一つせずに承諾した。
すると中から数人の子ども達が一斉に出てきた。その数は男の子が6人、女の子が7人だった。
年齢は十代中盤くらいから5〜6歳くらいまでと様々だった。
「院長先生、この人たちは?」
10代前半くらいの男の子の一人が三人を指刺して言った。
「こらセティ人に指を刺してはいけませんよ」
神父は優しい口調で子どもを咎める。
「はあい」
そしてその後、馬を外に繋ぎ、神父に招かれ中に入れてもらった。
教会(孤児院)の中は比較的綺麗で広かったがステンドグラスには軽いヒビが入っておりそれを木の板で補修してあった。
「どうしたんですか?中へどうぞ」
「ああ」
神父は教会の中を物珍しげに見回す三人に中へ進むことを促した。
「こんな場所に教会なんて珍しいな」
「そうですか?」
「そうだよ。」
「実はこの教会は私が建てたんですよ。」
その言葉に三人は目を丸くした。
「一人でか?」
「ええ」
三人は更に目を丸くする。
「大工にでもなった方がいいんじゃないのか?」
「いえいえ、それに私にはこの子達を育てる役目があります。」
温かい目で子ども達を見ながら神父は言った。
「この子達は・・・孤児」
フォルツがふとつぶやく。
「戦争孤児です。この子達はみな戦争で家族を無くした子ども達です。
それを私が引き取ってここで育てているのです。」
「・・・そっか」
フォルツは悲しげな表情をした。


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