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Cross Destiny
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Cross Destiny
〜神竜の牙〜B
-5

「そんな顔すんなよ、俺達はみんな院長先生に拾われて幸せなんだ。」
1番年長の男の子が悲しげな顔をするフォルツにそう叫んだ。
そして他の子ども達も頷いた。
「みんなありがとう。ちなみにこんな辺鄙な場所に教会を建てたのはこの子達を再び戦争に巻き込まないためです。
ここなら巻き込まれずにすむ」
「なるほど」
「ところであなた達はどうしてこんな場所に?」
ふと神父はアルス達に尋ねかけた。
それを聞いて三人は気まずそうな顔をした。
「俺達は・・・・ハロルの都へと進む途中なんだ」
「ハロルの都、あそこはジェラルドとヒーティアが交戦中ですよ・・・・・・・あなた達はまさか」
神父はアルス達のことを悟ったようだ。
「ああ、俺達はジェラルド軍だ。
そして今から加勢しに行く途中なんだ。」
「・・・・・そうですか」
神父は少しだけ険しい表情をした。
それも当然だ。ここにいる子ども達は全て戦争によって家族を亡くしているのだ。
その子ども達の前で軍所属を名乗るのは子ども達を傷つけるかもしれないからだ。
「その人達は悪くないよ悪いのは戦争を始めた人」
1番年上らしき女の子がそう言った。
「ええライア・・・あなたは優しい子ですね」
「えへへ」
その女の子は嬉しそうに微笑んだ。
「とにかく今日はここで休んでいってください。」

それからアルス達は神父達の寝室を借りた。
比較的広いとは言え、さすがに一室に17人は狭かった。
そしてみんなが寝静まったころフォルツとアルスがなにやら話していた。
「ここの子ども達、みんないい子だな」
フォルツは目をつぶりながら語る。
「ああ」
「そんな子達がこうやって戦争の犠牲になってんだよな」
「ああ、そうだな」
「俺は・・・そんな子達を救うためならなんだってやる。
ホーリィ兵でもヒーティア兵でも倒してやる!」
フォルツは更に決心を固める。

翌朝

馬もすっかり回復し、三人はハロルの都へと進むことにした。
「世話になったな」
「それじゃあな」
「あばよ」
そしてそれぞれが挨拶をする。
「いいえ、久々の来客で楽しかったですよ。」
神父は笑顔を見せた。
「また来てね」
「頑張れよ」
「早く勝って戦争を終わらせてね」
子ども達も快く送り出してくれた。

そして各々の気持ちを胸に三人はハロルの都へと馬を走らせる。

教会を発ってからおよそ半日

アルス達は遂にハロルの都へと到着した。

非常に広いその都の周囲は金色(ジェラルド軍)で埋め尽くされていた。
見た所ヒーティア軍はいない。
「おら急ぐぞ!!」
ヴェイルに急かされアルスとフォルツも足を急がせるヴェイルの後を追う。


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