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Cross Destiny
【ファンタジー その他小説】

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Cross Destiny
〜神竜の牙〜B
-23

「終わりだ、何もかも」
ヒーティアの司令官は不気味な薄笑いを浮かべた。
「開けーー!!」
そしてその掛け声と共に、兵士達は箱の周りの封を解き、黒の箱を開けた。
"ギィー"
中から出てきたもの、それは黒い人間・・・いや人型の魔物だった。
黒き体、翼、角を持つその魔物はまるで悪魔の姿そのものだった。
「あ、あれはディアボロス!」
レーヴェスは頬に汗を伝わせて言った。
「なんだディアボロスというのは!?」
「俺はあの後、ヴェイルさんからホーリィのことを聞き、それを調べるために再び黄泉羽としてホーリィに潜伏していた。
しかし俺たち黄泉羽は、つい最近までホーリィがやってることを知らされなかった。だがいよいよ作戦の大詰めとなり、神竜の復活や魔物の製造の事実を聞かされた。
そして奴らは神竜復活が叶わなかった時の保険として、十年前に完成していた、二種類の究極の魔物を封印していたんだ。」 
「それがあの」
「そう、ディアボロスだ。」
そう言い終えるとレーヴェスは静かに槍を構えた。 
「あれの能力は未知数だ、全員気を付けろ。」
そしてアルス達は再び臨戦態勢に入る。
「なんで?なんでヒーティアが魔物を!」
魔物を作り出したと信じていたジェラルドに復讐するために、ヒーティアについたウィンは、ヒーティアが魔物を使用するところを見て絶望した。
自分は何を信じればいいのかわからず
「行けディアボロス、奴らを殺せー!」
大声で叫ぶ司令官。
しかしその声に反応し、ディアボロスは十数人のヒーティア軍の方を向いた。
「ど、どちらを向いてる?敵は向こうだ!」
たじろぎながらディアボロスに命令する司令官。
"ドス"
「ガハッ」
その直後、ディアボロスの鋭い爪がヒーティアの司令官の心臓を貫く。
「う、うわあああ」
逃げ惑うヒーティア兵。
「ば・・かが、お・・・れに・めいれい・・・するな」
そしてディアボロスはそう喋った。
「喋った!魔物が!!」
突如言葉を放ったディアボロスに驚くアルス達。
しかしレーヴェスだけは冷静なそして同情を含んだような瞳でディアボロスを見ていた。
「言葉を話せるのも当然、ディアボロスは魔力の高い人間の魔物なんだ」
「な、なんだと!」
その事実を知り、アルス達は驚きを隠せなかった。しかしそれ以上に怒りを隠せなかった。
「ホーリィ、人間にまで神竜の細胞を注入していたのか!」
その直後辺りを見回していたディアボロスが戦意を失い立ち尽くすウィンに目をやる。
「う・・・あ・しね」
「は、はやい!」
ディアボロスは一瞬でウィンの正面に移動し、手をかざす。
するとウィンが立っている周囲の空間が歪がんだ。
「うわあああ」
"ドン"
しかしウィンが叫んだ直後、飛び出していたアルスがウィンを突き飛ばす。
「くっ」
そして歪んだ空間に穴が開いた。
「ぐあああ」
その空間の穴に吸い込まれるアルス。
「アルスさん!」
「アルス!」
空間の穴は既に閉じ、その叫びはもはや届くことは無かった。
「う・・・あ・・・やつは・・・にどと・・・でてこれ・・・ない」

「アルス!!ちくしょーーーー!!」
怒りに任せディアボロスに斬り掛かるヴェイル。


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