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Cross Destiny
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Cross Destiny
〜神竜の牙〜B
-22

「ちっ」
ヴェイルの斬撃がアゼイルの頬をかすめる。
その一撃は、どうせ当たらないならと、魔力を殆どまとわせない一撃だった。
しかしその一撃がなぜか当たりかけた。
(そうか、奴は俺の魔力の流れを正確に読んでいたのか、奴を倒そうと力んで魔力を出せば出すほど奴の思うつぼだったのか。)
ヴェイルは目をつむり剣にまとわせる最低限の魔力以外の魔力を閉じた。
"ザン"
ヴェイルの斬撃がアゼイルの肩を切り裂いた。
「ぐっ、こいつ!」
自分の戦術を見切られ焦ったアゼイルが薙刀を構え突撃してくる。
"ザシュ"
「ぐああ」
しかしヴェイルはそれを軽く避わし、右腕を切り落とした。
アゼイルの右腕ごと薙刀が落ち、肩から鮮血が舞う。
「無駄だ、ネタが割れた以上お前に勝ち目はねえ」
「ちくしょう」
"ザン"
遂にヴェイルの一撃が直撃した。
崩れ落ちるアゼイル。
同時にアルスとレーヴェスも戦いを終え、ヴェイルの元に駆け寄った。
「レーヴェス!」
アルスがレーヴェスを見て驚く。
「久しぶりだな」
「アルス、レーヴェスは味方だ。そう怖い顔するな」
ヴェイルの言葉にとりあえず気持ちを落ち着かせた。
「くっくっくっ、馬鹿が、もうすぐ滅ぶジェラルドに手を貸すとはな。
神竜復活はもう避けられない。」
高笑いをする瀕死のアゼイル。
「馬鹿はお前だ、漆黒の竜人であるフォルツなくしては神竜の復活なんてありえないんだろ?そのフォルツは俺たちの仲間だ」
「フォルツ?仲間?
くっくっくっ、あの御方はアレスター様の息子アルベル様だ。あの御方は必ずこちら側につく。」
「アレスターの・・・息子?何を言って!!」
一瞬で頭の中が真っ白になるアルス。
「事実だ、そしてなぜアルベル様がここにいないか解るか?今頃アシェルが」
「しまった!」
ヴェイルは思い出したように叫ぶ。
「ああ、そうそうお前等が大事に連れてる女だけどな」
アルスはすぐにルナのことだと気付いた。
「あいつはジェラルドを焼き払うため、神竜を支配するための器、封印の神子のクローン。つまり実験体だ。」
「な・・・に」
「だが奴は所詮失敗作、もう必要はない。せいぜい大事にしてやんな」
そう言い終えるとアゼイルは腰から短刀を取り出した。
"ドシュ"
「ガハ」
そして首に短刀を刺し自害した。

「ま、まさか黄泉羽まで」
青ざめた表情で嘆く司令官。
「どうします?もう兵力も残っていません。」
「あれを出せ」
「あれを!?しかしあれは我々まで危険が」
「もはやこれまで、どうせ死ぬなら奴らに一矢報いらなくては死んでも死にきれん。いいから出せ!」

「いよいよヒーティア城を制圧する。
皆の者、気を引き締めろ」
城内の守備兵、そして黄泉羽を倒し終え、遂にデュセルが制圧の指示を出した。
南門を破ったジェラルド軍も加わり、もはやジェラルド軍の勝利は揺るぎない。
しかし南門側のジェラルド軍の中にフォルツの姿は無かった。

アゼイルの言っていたことが現実に起ころうとしといるのか?そんなことがアルス達の頭を過ったときだった。

突如城内から数十人の兵士と檻にも見える巨大な黒い箱を運び現われた。


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