Cross Destiny
〜神竜の牙〜B-2
だってそうだろ?
あのジェラルドだぜ、悪の帝国!!みたいなイメージ誰でも持ってるだろ?
だけど国王は俺を見ながら笑ってた。「すんげえ度胸だな」ってな
んで何故か俺は気に入られて、成り行き上ジェラルド兵として雇われることになった。
俺もこの場を切り抜けるためにとりあえず首を縦に振った。
大国の兵として働いてればレーヴェスの情報も得られるかもしれないと思ったしな。
だから目的を達したらすぐにでもトンズラするつもりだった。
だけど俺はジェラルド兵として働らく内に次第に国王を、この国を好きになってた。
なんだか憎めなくて、本気で国民の為に身を削らす国王を、そして温かい人達ばっかのこの国をな。
他の国のやつらも、いやこの国のやつらでさえそのことには気付いてないやつが多いけどよ。
だからレーヴェスが黄泉羽に入ったという情報を知ってもジェラルド兵を辞めなかった。
アレスターと神竜復活のことも知っちまったし。
そんなこんなだ。》
「・・・・・デェルフェムートの人柄や言ってることが偽りだったら?」
アルスは何となく尋ねた。
「それはない!」
しかしヴェイルははっきりと言い放つ。
「四年の付き合いなんだ、その人が信用できるか否かくらいは確実に解る。
まあ急にその人を信用しろって言っても普通は無理だ。
だからお前らが自分の目で見極めればいいさ。」
「ああ、とにかくデェルフェムートの言ってることが本当ならアレスターを止めなくちゃならない。
真実は自分の目で見極めるさ。」
アルスは軽い笑みを浮かべた。
「ああそうだな。」
「ま、城生活なら毎日御馳走食べれるんだろ?」
「この馬鹿!」
いつもの様に振る舞うフォルツだったが、内心は揺れていた。
自分が"漆黒の竜人"という存在だという事実を知り、そして自分が神竜を復活できる存在だと知り。
(漆黒の・・・竜人!?
神竜!?
俺は誰なんだ?俺は・・・一体!?
教えてくれ・・・俺は)
一週間後
王座の間には以前と同じ様に
デェルフェムートとヴェザード
それに向き合うアルス、フォルツ、ヴェイル、そしてルナの姿があった。
「お前達に任務を与える」
デェルフェムートは真剣な顔でアルス達に任務を依頼する。
「現在ヒーティア軍8万が我が国の中央部まで進軍してきている。
それを食い止めてほしい」
「・・・ヒーティアか」
「ああ、時間が無い。一刻も早くヒーティア軍を鎮圧してホーリィに攻め込まなくてはならねえ。
しかし今、ヒーティアの大軍の前に手を拱いている。
そこでお前達に第8小隊と第7小隊と合流をして共に戦い、突破口を開いて欲しい。」
「突破口って・・・8万の軍の前に俺達数人で何か変わるのかよ!?」
フォルツは納得いかないというような顔をする。