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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『STRIKE!!』(全9話)-85

 智子が有名大学である慶神大学へ進学し、町を離れると知ったとき、彼は智子と逢うことをやめた。いくら彼女から求めてきても、それに応えることをしなかった。そうしていつしか二人の関係は、終わりを迎えたのである。
 高校を卒業したとき昌人は、古本屋の経営者・杉平から、小さいが活気のある出版社への就職を勧められた。それが、現在彼が所属している“あけぼの出版”である。智子のいる慶神大学の近くにある、主に若手作家を主体とした文章を紹介する雑誌などを刊行している会社だった。
 実は、藤堂智子が“あけぼの出版”に投稿をしていたことをしばらくは知らなかった。初めてそのことを知ったのは、智子が、甲子園で起こったある出来事を元に書いた短編『甲子園の風』を、会社に自ら持ち込んできたときだ。電話番を勤めていた昌人がその応対に出たことで、ふたりは再会したのである。
 はじめは、その関係の終わり方から冷たく余所余所しいものを互いに感じていたが、智子の担当は昌人というカップリングがいつしか定番となり、仕事を共有する中で、ほころんでいた絆は一層強く結びついたのである。
 語るにはあまりに長すぎる紆余曲折を経て“復縁”を果たしてから2年。今年に入って同棲まで始めた二人は、昌人の久しぶりの長期休暇にあわせて、この民宿を訪れていたのだ。
 ……話が長くなってしまったが、つまり、それだけ強い絆と愛情が、二人の間にあると理解していただければ、幸いである。


「昌人………もう、何処にもいかないで………」
 切れ長の瞼に浮かぶ涙。なぜか智子は、身体を触れ合うと泣きそうな顔をする。それだけ、何度も哀しい想いをさせてしまったのだろうと、この表情を見るたびに、昌人はいつも胸が痛むのだ。
「お願いだから……」
「……ええ、何処にもいきませんよ」
「あ、ん……」
 だから、彼女が安心するように、そっと頬を両手で包んで、優しく唇を寄せる。温もりを、いつもそばにあるこの温もりを大事な人に伝えるために。
「先生……」
「ん……まだ……そんな、呼び方……」
 それでも、どうしても名前で呼べないほどに、恥じらいと習性は抜け切らないらしい。
「ん……んん……ん……」
 昌人は、何かいいたげな彼女の口から言葉を奪う。深く口を合わせ、舌の先をまさぐり、平の部分を重ねあう。唇だけでは味わえない、柔らかい温もりが一面に広がって、とても気持ちが良かった。
「………」
 触れている頬が熱い。いつも冷静に物事を計り、言葉を並べていく智子が、こんなにも体から感情を溢れさせている。
 それだけで、たまらなくなる。
「あっ、昌人……」
 昌人は、手を胸元に伸ばす。そのままするりと中にいれ、下から包むように乳房に触れてみた。
「ん……」
 智子の唇から吐息が漏れた。まだ重なっているから、そのまま口の中に移ってくる。
「ん……んん……ん、ん……」
 さわさわとあくまで優しく撫でさする。実は、揉む行為よりも撫でる行為のほうが、昌人は好きだったりするのだ。すべすべして、柔らかい肌の感触を愉しめるから…。
「ん、んんっ!」
 かといって、揉むのが嫌いなはずもない。すこしだけ指先に力をいれ、柔らかな膨らみの形を変える昌人。表現しようのない、甘い感触が手のひらを覆う。
「あ、あぁ……」
 襟元に指をかけ、左右に割り開く。小振りではあるが、極上の形をした智子の乳房が、ふたつとも昌人の前に晒された。
「先生……」
 昌人は智子の肩に手をかけると、そのまま押し倒す。成すがままに、布団に横たわる智子。露わになった胸が、昌人を誘っている。
「昌人……あ、あ、ああっ!」
 両の手で膨らみをわしづかみにし、優しく指を埋める。信じられないほど柔らかい感触に、昌人は震えた。
「はぁ……んっ……んくっ……んう……」



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