投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

『STRIKE!!』の最初へ 『STRIKE!!』 81 『STRIKE!!』 83 『STRIKE!!』の最後へ

『STRIKE!!』(全9話)-82

「とりあえず、2日前ぐらいからはしないようにしようと……」
「あら、そうなの?」
「エイスケは言いましたが、結局、わたしも襲ってしまいました」
 言っている内容が信じられないほどに、無垢なエレナの微笑み。無邪気、とはまさにこのことを言うのだろう。
(もう、ふたりして……)
 晶はちょっと拗ねた。なにしろ、寂しいのが嫌なのでこの頃は自慰も自粛している。それに、今日はいつもなら絶対にありえない弱々しい亮の姿も見てしまった。…本当なら、すぐにでも彼に触れたくて仕方がないのだ。
「……それにしても、実感ないんだよね」
 そんな艶かしいものを追い払うように、晶はこぼす。
「あの栄輔が、彼女もちっていうのはさ」
 なにしろ洟垂れの頃から知っている男である。ちょこまかと自分の後ろに引っついて、何かあるとは自分の後ろに隠れていた、気弱な幼なじみ。腐れ縁というか何というか、大学のゼミまで同じになってしまったが、それまでの十数年間を考えると、エレナのような女性が彼に惹かれる理由を、どうしても見つけられない。
 もっとも、最近の長見の変貌振りを目の当たりにしているから、晶も彼を見直してはいるのだが…。それでも、晶には頼りない頃の姿がどうにも払拭できないのだ。
「エイスケ、とってもかわいいんですよ」
「………」
「照れ屋で、ぶきっちょで、素直じゃなくて……でも、何かあるとはわたしの胸に甘えてくれるので、もう、そのたびに胸キュンキュンです」
 きゃー、とエレナは自分で言っておいて悶えている。ぼいんぼいんとダイナマイトバストが水滴を弾いて、左右に揺れた。
(ぱ、ぱいぱにっく……)
 その迫力に、さしもの玲子も唖然としている。
「………」
 ひとり神妙な顔つきの晶はそのとき、長見の母親が小学校の頃に亡くなっていることを思い出していた。
「栄輔、すんごい寂しがり屋でしょ?」
「ハイです。雨のひどい夜とか、わたしの胸から離れません」
「………」
 それは、長見の母親が亡くなったときが、そんな夜だったことに起因しているのだろう。
「あたしがいうのもおかしいんだけど……あいつのこと、お願いね」
「もちろんです」
 やはり無邪気なエレナの笑顔。晶は、初めて、長見のことで安心した気持ちになった。………そこではたと気づく。
(あいつ、エレナの母性をくすぐったのかな。マザコン……っぽかったもんね)
 おそらく、それは正解だろう。
「アキラも、キドさんとしっかりエッチしてくださいね」
「な、な、なにをいきなり!?」
「だって、アキラ、寂しそうです」
「そ、そう見えるの?」
「あ、そうだ。明日、試合に勝ったら、部屋空けてあげるわよ。木戸君のことだから、遠征先で負けちゃったらしたくてもしないだろうし。……これは、死に物狂いで頑張らないとね、晶ちゃん」
「か、か、か、監督まで!」
 ちょっとだけしんみりしていた晶は、無垢な二人の女性の攻撃に晒されて、あっという間にのぼせそうになっていた。





『STRIKE!!』の最初へ 『STRIKE!!』 81 『STRIKE!!』 83 『STRIKE!!』の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前