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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『STRIKE!!』(全9話)-245

 ズバン!!

「ストライク!」
 亮のミットに、凄まじい圧力がかかった。要求したボールはレベル1.5のはずなのに、球威はそれよりも上だ。
 二球目、インコース。ボール球になる、レベル1のストレート。
「ストライク! ツー!!」
 二ノ宮が振り遅れるほど、伸びがあった。それほどに、ボールのキレが更に磨きをかけたものになっているということだ。
(終盤になって、勢いがなくなるどころか……)
 エンジンがさらにかかってきたような、晶のストレート。
(よし……)
 亮は、ためらいもなく拳を握り締めた。晶が、力強い頷きでそれに応えると、更に大きな投球モーションをスタートさせる。
「!」
 鞭のようにしなる右腕から繰り出された、勢いの無いボール。
(チェンジアップか!)
 快速球を脳裏に焼き付けられていた二ノ宮は、完全にタイミングを崩され、満足なバッティングフォームを保つことができない。
「ストライク! バッターアウト!!」
 三振に、切って取られた。
「ははーははははは!! 調子づかせるわけにはいかんぞ、近藤晶!」
 管弦楽の哄笑も、晶の耳には入らない。大きく振りかぶって、内角高めにレベル2のストレートを放り込んでやった。
「!」
 管弦楽は、それを振りにかかる。腰の回転から生み出される鋭いスイングが、内角高めのボールに食らいつき、その球を強く弾き飛ばした。
 グン、と伸びのある打球が左中間を飛ぶ。角度といい、上がり具合といい、オーバーフェンスを充分に予想されるいい当たりではあった。
「き、きよったか!」
 赤木がどすどす、とその打球を追いかける。もともと、亮の指示に従い奥深く位置取りをしていたから、鈍足のかれでもすぐにフェンスの側まで到達し、その打球を真上に見ることができた。
「いかせるかい!」
 赤木が背を伸ばし、めいっぱいに腕を伸ばす。
「お、おおう!?」
 そのグラブの先にボールがあたり、それは赤木の目の前を落下していった。
「ナイス、赤木!!」
 グラウンドにこぼれたボールは、カバーに入った上島が処理をした。
 管弦楽は、既に二塁に到達していたから、記録はヒットとなったが、オーバーフェンスぎりぎりの打球を、彼はグラウンドの中へと押し戻したのだ。アウトに取ることはできなくとも、下手をすれば本塁打の可能性もあったものを二塁打に押し留めた彼の守備は、充分すぎるほどのファインプレイである。
「気合が入るのはいい。だが、熱くなりすぎるなよ」
「うん」
 いい当たりを打たれたボールは、少し高めの甘いところだった。さすがに管弦楽はそれを逃さず、見事に打ち放ったものである。
 だが、亮は心配をしていなかった。今の晶なら、管弦楽以外の打者には打たれない雰囲気があったからだ。
「アウト!!」
 その証拠に、5番の鈴木はキャッチャーフライに打ち取り、
「ストライク! バッターアウト!!」
 6番の習志野は、レベル0を混ぜるまでもなく三振に切って取った。
「よしッ!」
 マウンドで吼える晶。まるで仁王立ちするかのような強烈な重圧を櫻陽大のベンチに与えながら、彼女は悠々と自軍のベンチへ戻っていった。





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