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『STRIKE!!』
【スポーツ 官能小説】

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『STRIKE!!』(全9話)-218

 ホームプレートを挟んで対峙する城南第二大学と、櫻陽大学の軟式野球部。リーグ最終戦となるこの試合は、期せずして総合優勝の行方を決する大一番となった。
 総合成績はそれぞれ、城二大が8勝1敗で勝ち点24。櫻陽大が8勝1分で勝ち点25。城二大はこの試合に敗れれば、当然優勝を逃すことになるのだが、引き分けでもお互いに1点が加算されるため、同様の結果に陥る。
 したがって、城南第二大学が優勝するためには、この試合に勝利しなければならない。
「………」
 故に、城二大の面々が気負うのも無理はないところだ。無理に背をそらして、居丈高な雰囲気を出そうとしているのはわかるが、固まった顔つきによってそれが滑稽な様になっていることに彼らは気づいていない。
 かたや櫻陽大には、気持ちの余裕が感じられる。管弦楽は相変わらず尊大な趣であり、亮の目の前にいる二ノ宮は、決戦の舞台に気負った様子もなく、涼しげな顔つきだ。
 だが、そこに慢心はなにもない。目の前にいる敵を叩き潰さんばかりに、じりじりと発せられるプレッシャーは強烈なものだ。
 まさに、常勝軍団の凄みがそこにはあった。少なくとも、他の面々よりは平常心を保っている亮だけに、皮肉なことにそれが理解できる。
「………」
 そして、晶には別のプレッシャーが襲い掛かっていた。目の前にいる、女性だ。
 前期のときは顔を見なかったその選手に、真っ向から気合をぶつけられていた。同じ女性同士というものもあるのだろう。
(この人……)
 以前に何度か対戦した帆波渚とは、全く違う雰囲気をもった選手だ。彼女に対しては、勝負への執着はもちろん感じられたが、それでもどこか垢抜けない部分があった。
 しかし、この選手にはそういうもの以上に、勝負に対する貪欲な“なにか”を感じ取れる。まるで、獲物を狙う雌狼のように、油断をすれば即座に食いつかれるような……。
 それは、晶が賭け野球にいた頃に知らず研ぎ澄まされた勝負勘が嗅ぎ分けたものだが、まさか目の前の女性が、つい先ごろまで同じ世界にいた“義侠のお京”と称された人物だとは思わないだろう。
 言ってみれば、油断ならない同類に対する警戒心のようなものが、今の晶には働いている。
「礼!!」
 緊張……敵愾心……優勝……様々な思念が渦巻く中、審判の声に従い、二つのチームは図ったように綺麗に谷を作った。
「よし、行くぞ!」
「みんな、頼むぞ!!」
 二ノ宮と、直樹がお互いのチームに気合を与える。キャプテンとしての度量は、甲乙つけがたいほどに優れている二人だ。それを示すように、返ってきた返事は、まさに琴瑟相和して整然としたものだった。審判の各員が、惚れ惚れするほどに。
 ついに、試合は始まった。
 城南第二大学は、先攻めである。


 [城南第二大学]

1番:長 見 栄 輔(中堅手)背番号 26A
2番:斉 木  透 (遊撃手)背番号  6A
3番:近 藤  晶 (投 手)背番号 18A
4番:木 戸  亮 (捕 手)背番号 22A
5番:柴 崎 エレナ(三塁手)背番号  9A
6番:原 田 英 治(一塁手)背番号  3B
7番:新 村 達 彦(二塁手)背番号  8B
8番:長谷川 良 治(左翼手)背番号  7B
9番:上 島 大 蔵(右翼手)背番号 10B

[控え]
高 杉 直 樹(背番号 1)C
赤 木 龍 介(背番号11)B

 [監督・顧問]
   佐 倉 玲 子






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