『STRIKE!!』(全9話)-145
「“好きだ”……“愛している”……女のコなら、いつだって言われたい台詞だもの」
「そういうもんなのか?」
「あー、亮、わかってないな。お互いにはっきりしている気持ちでも、いつだって声に出して言ってもらわないと、女の子は不安になっちゃうんだよ」
「そっか……」
ふと、亮は立ち止まった。なにごと、と、同じように脚を止めた晶をじっと見つめる。
「なあ、晶」
「な、なんですの?」
キミは何処の令嬢かね、晶君。
「そういや、最近、言ってなかった気がする」
「な、なにを?」
「晶のこと、“好きだ”って」
「っ!」
どっどっどっど……と、晶の鼓動が波打った。不意打ちにも似た亮の言葉に。
「あ、いや……それよりも、だな」
彼の言葉はまだ続く。
「愛している」
「!!」
きゅぅぅぅ――――
もう、たまらない。真面目な顔で、そんなふうに言われたら、胸のときめきはどうしようもないほど高まってしまう。
「りょ、亮……」
「ん? どうした?」
「あたし、自分で言っておいてなんだと思うんだけど……」
「?」
「すっごい、嬉しい!」
「わっ」
「あたしもね、あなたが大好き!」
眩いばかりの微笑で、がばり、と首に巻きついた晶の両腕。
それをしっかりと受け止めて、亮は思う。
(あてられていたのは、俺のほう―――――)
夢を乗せた翼がはばたいていった方を見上げてみた。
正念場の試合を戦ったあの日のように…
青空は遠く何処までも広がっていた。