恋人達の悩み 〜Obstacle Girl〜-14
「龍之介……」
「美弥……」
「つらい事、させちゃったね……」
二人でこうむった、笹沢瀬里奈といういい迷惑。
だがその迷惑を敢えてこうむらなければ、瀬里奈は壊れてしまいそうだった。
たとえ世間から許されない不倫の恋だろうと、それにすがっていた瀬里奈。
その恋を失ってヤケになり、自殺でもされた日には寝覚めが悪すぎる。
そんな事になる前に止められる位置に、自分達がいるのだからなおさらだ。
「美弥……欲しいよ」
「うん。しよ……」
美弥は裸になって龍之介に跨がり、腰の位置を調整して……落とす。
「っくぅ!」
美弥の顔が、ぎゅっと歪んだ。
「み、美弥!?」
いつもより明らかに潤みの少ない胎内に、龍之介は驚いて声を出す。
「こんな無理……!!」
「り……龍之介は、もっと、つらかったもん……」
歪めた顔へ必死に笑顔を取り繕いながら、美弥は言った。
何も出来ずに部屋を出ていた自分には、龍之介が受けた苦痛のいくばくかを引き受ける義務がある。
そう、考えて。
「このくらい、平気だよ……」
「無茶するなよッ……!」
龍之介は結合を解こうとし……身動きが取れない事に気が付いた。
今も苦痛を与えているというのに、潤みの少ない秘裂で無理矢理龍之介を咥え込んでいる美弥を動かせば、問答無用でさらなる苦痛を与えてしまう。
椅子から降りて何とかしようと思っても、やはり美弥を動かしてしまうので苦痛を与える。
ならば、残った手段は一つしかない。
いつもくらいまで、美弥をぬめらせる事だ。
「痛いの、すぐに和らげるから……少しの間、我慢してて」
顔を歪めている美弥の両頬に手を添え、龍之介は唇を重ねる。
ちゅっ、くちゅっ……
舌を絡ませながら、龍之介は掌を乳房へと滑らせていった。
「ん……」
優しく乳房を揉み捏ね、時折乳首をつまんで揉んで刺激を変えてやる。
その愛撫を続けつつ唇を顎から首へと滑らせ、キスし、舐めしゃぶり、軽く歯を立てる。
「っんく……!」
美弥の内部が徐々に柔らかくほぐれ、蜜で濡れ始めた。
だが、まだきつい。
「いいよ、美弥……もっと鳴いて……」
甘く高く鳴く程に美弥が感じている事を、龍之介はよく知っている。
早く美弥の苦痛を取り除いてやりたいと焦る心を必死に抑え、龍之介は愛撫を続けた。
「あぅ……ふうぅ……」
しばらくして、美弥が自然に腰を動かし始める。
襞は熱く、ぬるつき、龍之介を愛しげに締め始めた。
「……ふう……」
美弥の胎内がいつものように濡れた頃、龍之介は安堵の吐息を漏らす。
「りゅう……りゅうぅ……あっ……んぁ……」
龍之介の肩に手を置き、美弥は体を上下させる。
ぬちゅっ、ぐちゅっ、にちゃにちゃにちゃっ
いやらしい音と共に、龍之介の眼前で形のいい乳房が揺れ動いていた。
その右胸(龍之介にとっては左側の乳房)の上に、だいぶ薄くなった痣がある。
イヴの夜――美弥に気付かれないように付けた、キスマーク。
自分で付けたくせに、妙な嫉妬が龍之介の心へ湧き上がった。
「美弥……」
動きを止めさせて、龍之介はそこへ再び口付ける。
「あっ」
強く吸われる瞬間的な痛みの後、痣は色鮮やかに蘇った。
「美弥……」
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ
龍之介は美弥の胸一杯に、キスマークを付ける。
赤く上気した肌に咲く、さらに紅い花。
「馬鹿、こんなにたくさん……」
胸元にちりばめられた淫らなアクセサリーに、美弥は恥じらった。
「他の奴にはもう見せられないよな?」
「龍之介以外に、見せる気もないよ」
唇を触れ合わせてから、美弥は再び動き始める。
「んんっ、あうぅ……!」
腰の振りに合わせて龍之介が突き上げて来るため、美弥は堪らなくなって龍之介の肩に爪を食い込ませた。