「本気の恋。はじめました。(下)」-4
「すいませんおはようございます〜」
「美鈴ちゃん〜おはよう?もう指名来てるから、いって」
「はいはい」
今日は考え事と寝不足で大遅刻をしてしまったので、鈴木さんの対応も冷たい…
「美鈴おそーい!」
席にはすでにまことと実景、お客さまがいた。
「寝坊した〜」
「ばか〜ほらほら乾杯しよ!」
「そうそう中川さんがね、この後お食事にどうかって。美鈴ちゃん行かない?」
アフター?
うちの店は客と男女関になったという事件があってから、アフターは原則禁止なのだ。
「でっでも…」
「ばれないって!美鈴〜」「そうだよー」
「そっそうだね…」
断りきれなくて結局アフターに行く事になってしまった。
山下さんには…知らせた方がいいよね。
店ではあまり話せないのでメールを打った。
『断れないならしょうがないよ。いってきな』
店の中同士でメールをするのは変な感じがした。
「まことちゃん美鈴ちゃん何食べたい?」
「肉〜」
ハイテンションのまこと。私は罪悪感からか、気持ちが沈んでいた。
「お肉だな!じゃあそこっ」
実景の上客、中川さんは店近くの焼肉屋を指差す。
「あそこは朝までやってて、旨い!」
「美鈴ちゃん元気ないね?」
「え?ああっそんな事ないよ!」
私のお客様である川田さんは優しく気にかけてくれた。
ぴろろっ
その時メール音が鳴り、宛名は山下さんとあった…
『ごめん。告白の言葉取り消してもらえる?色々考えたけど…好きな人が禁止事項破ってまで、他の男といるの許せるほどおっきい男じゃないみたい』
頭が真っ白になった…
やだ…
嫌われた…
「美鈴?」
「あのっ私…」
「どうしたの?」
「ごめんなさいっ」
私は夢中で走って逃げ出した。
ただ、嫌われるのは嫌だったから。
ぷるるる…
電話をかける……
出て、お願い…
「なに?」
出てくれた!
「わたしっあの…ごめんなさい」
「なにが?美鈴は何も悪くないよ…俺がちっせぇだけ。」
「ちがっ…わたしがっ」
涙が止まらなかった。
何を言っていいかわからなくて、ただ謝るだけしか出来なくて…