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「本気の恋。はじめました。」
【大人 恋愛小説】

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「本気の恋。はじめました。(下)」-3

……………
クマはぴくりとも動かずクレーンだけが虚しく帰路へと着いた。

「これがほしいの?どれ」
横で見ていた山下さんは私とは違いクマを上手い事転がして、簡単にとってしまった。

「あっありがとう」
「どうぞ。他に欲しいものある?」
「えーっと…」


結局ぽこぽこぬいぐるみを取るもんだから、私は持ちきれなくなって車へ戻る形になった。

「楽しかった?」
「はい!山下さん意外に上手くてびっくりです」
「意外か〜?ゲーセン山ちゃんとは俺の事よ?」
「ぷっ…」

クールな人だと思ってたけど、実はお調子者寄り?

「そろそろ聞いていい?なんで元気なかった?目も合わせてくれなかった。」
「それは…」
「やっぱり迷惑だった?」「違います!」

思わず声を張り上げてしまった。

「じゃあ何?」
「みっ実景に…告白されました?」
「なっなんで知ってる?」「本人に聞きましたから…」
「そっか。でも断ったよ。」
「なっなんで?NO1ですよ?」
「俺がそんなんで好きな子選ぶと思う?」
「いや…」
「好きな子がいるって断ったよ。俺、半端な気持ちで告白してないから。」
「そ…ですか。」

一気に力が抜けた。
安心感でいっぱいになった。

「でも実景には悪いけどそれが理由だったなら…嬉しいな。俺を意識してくれてんだ?」
「えっいやっあのっ」
「ま、焦らすつもりはないからさ。ゆっくり考えてよ」

帰り際、あくびを一つして山下さんは去っていった…そっか。お昼も仕事だもんね。
ありがとう…疲れてるのに元気づけてくれて…

きっと私も…
貴方が…好きです。



次の日、実景は当日欠勤をした。
プライドの高い彼女だ、まことは山下さんの答えを解った様だった…

「山下さんてさ、どんな子が好きなんだろーね」
「さっさぁ」
「ま、もう辞めるから関係ないけどね。」
「…うん。」

そうだよ。やめちゃうんだ…
私の気持ちも…早く伝えなきゃ…

「美鈴さんご指名です」
「はい」

結局思いを伝えられずその日は終わってしまった…
情けない…


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