ふたり【ユキの答え】-1
……ついに言ってしまった。
震える体に、自分のしでかした事の大きさを実感する。
ユキはさっきから押し黙ったまま。
まだ答えも聞いてないのに、勝手に涙が溢れてくる。
嫌に静かな空間に、あたしの心臓の音がうるさいくらいに響いている。
ドアの向こうでユキはどんな顔をしてるんだろう……。
息が苦しい。
早く答えが聞きたい。
沈黙は、かえってあたしの頭を混乱させた。
言わなきゃよかったという後悔と、
早く、早くという焦りの声があたしの頭を支配する。
どうしようもなく、口が動いた。
「ゆ、ユキ?」
あたしの上擦った声は、ちょっとだけエコーを帯びてすぐに消えた。
再び訪れる沈黙……
これが……
この沈黙が答えなのかな……
心の乱れは、涙となってどんどん溢れてくる。
いやだよ……。
ねぇ、答えてよ…。
ユキ……。
『──エリカ。』
「えぅっ!」
びっくりして変な声が出てしまった。
でも、そんなことどうでもいい。
もう二度と、ユキの声が聞けないんじゃないかと思った。
それくらい、あの沈黙はつらかった。
それに…
あたしはやっぱり、ユキのことが好きで好きでたまらないみたいだ。
ユキがいなければ、あたしは生きていけない。
もし、ユキの答えが悪い方だったら、あたしは……
『俺、……俺は』
頭の中がごちゃごちゃして、もうわけがわからない。
ただ、ドクンドクンというBGMの中、ユキの声が頭で繰り返し流れている。
『俺は、エリカのことが……』
無意識に息が止まる。
一転、頭の中が真空状態になったみたいだ。
その先を聞きたいような聞きたくないような……
きゅうきゅうと締め付けられて苦しい胸を、ギュッと手で抑え込む。
……神様
……お願い。